おしゃれで簡単! 作る人に寄り添うレシピに定評のある料理家のワタナベマキさん。キッチンツールの著書があるほど道具や器選びにはこだわりがあり、「お気に入りの道具や器は、料理する気分を盛り上げてくれる大事な相棒」と語ります。そんなマキさんに、あると思わず料理がしたくなるキッチンツールを、毎月紹介してもらいます。第二回目は、カッコよさとおいしさを兼ね備えたstaubの鍋です。
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「ピコ・ココット・ラウンド」
道具好きのマキさんは、もうかれこれ20年近くstaubを愛用しています。なんとハワイから持ち帰った鍋もあるそう。「私の中でstaubの鍋は、魔法の鍋のような存在。素材のうまみが凝縮されるから、料理の腕が上がったような気分が味わえるんです。ラウンド、オーバル2種、片手鍋と4種類持っていて、料理に合わせて使い分けています。中でも、このラウンドは煮込み料理はもちろん、おでんをはじめとした鍋料理でも活躍。忙しいときにはついつい雑に扱ってしまうこともありますが、ビクともしない丈夫さもstaubの鍋の魅力の一つだと思います」。
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「ラ・ココット de GOHAN」
ご飯は毎日鍋で炊いているマキさん。ラ・ココット de GOHANもずっと気になっていたといいます。「staub好きとしては、ご飯炊き用の鍋にももちろん注目していました。日本の羽釜をヒントにしたという丸みのある形が他のstaubとはまた違ったかわいさ。しかも、ただかわいいだけでなく、この底の丸みが大きな対流を起こし、米をムラなく炊くための工夫と聞き、ますます興味が湧きました。実際に炊いてみると、ふっくらと甘みが感じられます。さすがは米炊き用! と思わずうなってしまいました」。
ご飯にかけて食べる
無水シチュー
冬になると、俄然出番が多くなるのがシチューです。鍋一つでできるし、仕込んでしまえば鍋まかせで、時間がおいしくしてくれる。しかも、家族みんなが喜ぶといいことづくしの料理なんです。それをご飯にかけて食べるのがわが家の定番。クリームシチューって思いのほか、ご飯との相性がいいんです。野菜をごろんと大きめに切って作るのもこだわりでしょうか。そのほうが野菜の味を存分に感じられ、ホクホク感も味わえるんですよね。staubの鍋なら無水で作れるから、食材本来のうまみがギュッと凝縮されておいしさがよりアップ。野菜の栄養も丸ごといただけます。

材料(2人分)
鶏もも肉 250g
玉ねぎ 1個
にんじん 1本(150g)
じゃがいも 2個(300g)
にんにく(薄切り) 1かけ
ローリエ 1枚
薄力粉 大さじ1
オリーブ油 小さじ2
バター 20g
白ワイン 80mL
塩 小さじ1
牛乳 300mL
粗びき黒こしょう 少々
パセリ(みじん切り) 少々
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*小さじ1=5mL、大さじ1=15mL、1カップ=200mLです。
作り方
① 玉ねぎは8等分のくし形切りにする。にんじんは長さを半分に切り、縦4等分にし、面取りする。じゃがいもは4〜6等分に切って面取りし、水にさらして水けをきる。ローリエは切り目を入れる。鶏肉は表面の水けを拭き、食べやすい大きさに切り、塩少々(分量外)をふり、薄力粉をしっかりまぶす。
Maki's Memo
「鶏肉にふった粉がとろみの役目をします。焼く直前にたっぷりふってください」
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② 鍋にオリーブ油、バターの半量(10g)、にんにくを入れ、弱火で炒める。香りが出てきたら鶏肉の皮目を下にして入れ、中火で焼きつけ、返してもう片面も焼く。全体が白っぽくなり、軽く火が通ればOK。
Maki's Memo
「クリームシチューは白く仕上げたいので、鶏肉も軽く焼き色がつく程度に炒めます」
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③ ②に玉ねぎ、にんじん、じゃがいもを加えてさっと炒め、白ワインを加え、煮立ったらローリエ、塩を加え、蓋をして弱めの中火で20分煮る。
Maki's Memo
「白ワインで風味づけ。煮立ててアルコール分をとばし、うまみを残します。肉の臭みを取る効果もあります」
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④ 牛乳と残りのバター(10g)を加え、混ぜながらとろみがつくまで煮る。器にご飯を盛り、シチューをかけ、粗びき黒こしょう、パセリをふる。
Maki's Memo
「好みのとろみがつくまで、焦げないように混ぜながら煮ます」
マキさんのおいしいポイント
水をいっさい加えない無水シチューは、鍋まかせの料理。難しいことはありませんが、しいてあげるならポイントは2つ。1つは、肉に粉をまぶして焼きつけ、香ばしさをつけるとともにとろみをつけること。もう1つは、具材がやわらかくなってから牛乳を加えることくらいです。

ポイント❶
鶏肉に粉をふって焼くと香ばしさが加わります。staubの鍋は内側には独自のエマイユ加工(ホーロー加工)がしてあり、表面がザラザラしているので焦げつきにくいのが特徴。炒めてから煮るシチューやカレー、肉じゃがなどを作るのに最適です。

ポイント❷
staubの鍋の蓋の裏側にはピコという丸い突起があり、加熱によって出た食材の水分が鍋を対流し、ピコを伝わって雨のように食材全体にムラなく降り注ぎます。このアロマレインのおかげで食材がふっくらジューシーに仕上がります。

ポイント❸
鍋でお米を炊くときも、しっかり浸水させます。米を洗ったらざるに上げ、鍋に入れて2割増の水(米2合=360mLなら、水430~440mL)を加え、浸水させます(冬なら15~20分、それ以外は10分)。炊き方は、強めの中火にかけ、煮立ったら弱火で12分、強火で15秒加熱して火を止め、15分蒸らす。これで、ふっくらツヤツヤのご飯に! シチューのときには、バターをひとかけ混ぜてバターライスにすると、よりシチューに合います。
ワタナベマキのもっと!おいしい道具
今回、盛りつけ用に使用したのは、なんともいえないニュアンスのあるブルーの器です。不思議なほど、どんな色の料理も映えるんです。深さもあるので、わが家ではカレーライスはもちろん、シチューなどの煮込み料理をご飯にかけるとき、具だくさんのスープ……と大活躍中。ご飯とシチューだけなんてときにも、この器ならテーブルが寂しくならないのもいいところ。
ワタナベマキさん
1976年神奈川県生まれ。夫と息子、猫2匹と暮らす。グラフィックデザイナーを経て、2005年に料理家として活動を始める。日々食べるものをおいしくていねいに作るのが信条。素材の味をシンプルに引き出す料理、素材の組み合わせに定評がある。ライフスタイルに憧れるファンも多い。現在は、テレビ、雑誌、オンライン料理教室など幅広く活躍中。著書は『マキさんの極上シンプルおにぎり』(ワンパブリッシング)、『ほったらかしでおいしい!せいろでおかず蒸し』(Gakken)、『あたらしいみそおかず』(文化出版局)、『ワタナベマキの体に優しいいたわりスープ』(扶桑社)、『五感が喜ぶおいしい組み合わせ。おつまみ100』(宝島社)など多数。
https://maki-watanabe.com
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wa&_(ワンダー)は、現代版“にっぽんの味”を料理家ワタナベマキが提案するブランドです。"日々の食卓に、小さなワンダーを"をテーマに、世界各地の料理から受けたインスピレーションを繊細な和のテイストにアレンジしてお届けします。
ワタナベマキのおいしい本棚
撮影/福尾美雪
構成・文/飯村いずみ
アートディレクション/小橋太郎(Yep)