おしゃれで簡単! 作る人に寄り添うレシピに定評のある料理家のワタナベマキさん。キッチンツールの著書があるほど道具や器選びにはこだわりがあり、「お気に入りの道具や器は、料理する気分を盛り上げてくれる大事な相棒」と語ります。そんなマキさんに、あると思わず料理がしたくなるキッチンツールを紹介してもらう新連載が始まりました。第一回目は、蒸し料理大好きのマキさんも認めるスチーマーと、ご自身のコラボ商品である保存容器です。
工房アイザワの
「スチーマー」
蒸し料理が得意なマキさん。著書が何冊もあり、いずれも大好評です。そんなマキさんのお墨付きのスチーマーがこちら。「コンパクトなのに思いのほか容量があるから使いやすいんです。蒸した後にすぐに冷ましたいときも、蒸籠のようにアツアツの皿を取り出す必要がなく、身(食材をのせるすのこ部分)ごと外しておけて便利です。ステンレス製なので熱伝導が早く、手入れも簡単なことや下鍋(水を入れる部分)を普通の鍋として使える……などなどいいところはたくさんあるのですが、何よりシンプルなフォルムが気に入りました」。
家事問屋の
「丸形保存容器」
今年3月まで息子さんのお弁当作りに奮闘していたマキさん。ステンレス製のお弁当箱が欲しい、でもお弁当作りが終わっても使えるものを、と家事問屋さんと2年以上打ち合わせと試作を繰り返し、完成させた商品です。「保存容器としても使え、入れ子になるので収納もしやすい。ステンレス製なので、今回のように蒸し器に入れてプリンを作ることもでき、食べきれない分はそのまま冷蔵庫へ…なんて荒技もできるんです。ステンレスは丈夫で長持ち! 匂い移りしにくく、さらにすっきりとした見た目もいいですよね」。
我が家のとっておき
蒸しプリン
プリンはわが家のおやつの定番。息子が小さいときから何度も繰り返し作っています。ときには、生クリームを入れてよりクリーミーさを楽しむこともありますが、家族に人気なのは卵と牛乳、砂糖で作るシンプルなタイプ。卵黄をプラスし、より濃厚にするのがポイントです。息子が大きくなった今では、カラメルソースをしっかりめに焦がして。プリン生地の卵風味とカラメルソースの苦みのコントラストがたまらないんです。オーブンで蒸し焼きする方法もありますが、蒸して作るととろ~りなめらかな食感に仕上がります。

材料(直径15㎝×高さ6.5㎝の容器1個分)
卵 2個
卵黄 2個
グラニュー糖 60g
牛乳 300mL
カラメルソース
|A|グラニュー糖 50g
| |水 大さじ1
|熱湯 80mL
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*小さじ1=5mL、大さじ1=15mL、1カップ=200mLです。
作り方
① カラメルソースを作る。小鍋にAを入れ、弱めの中火で鍋を揺すりながら煮詰める。こげ茶色になったら弱火にし、熱湯を少しずつ加えてヘラで混ぜ、再び煮立ったら火を止め、容器に入れて冷蔵庫で冷やし固める。
Maki's Memo
「最初は混ぜずに鍋を揺らし、熱湯を加えたら混ぜて均一にします。熱湯を入れるとジャッとハネるので、火傷には十分注意してください」
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② ボウルに卵、卵黄を入れて泡立て器でよく混ぜ、グラニュー糖を加えてさらによく混ぜ合わせ、牛乳を加えて混ぜる。
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③ ①がかたまったら、②をストレーナー(茶漉しなどでもOK)で濾し入れ、蒸し器の身(すのこ部分)にのせる。
Maki's Memo
「濾すと、舌触りがなめらかになります」
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④ 蒸気の上がった蒸し器にのせ、蓋をして強火で1分、弱火にして菜箸を蓋と鍋の間にはさんで25分蒸す。かたまっていることを確認し、粗熱がとれてから冷蔵庫で冷やす。
Maki's Memo
「火が強すぎるとすができてしまうので、強火で1分蒸したら弱火にします」
マキさんのおいしいポイント
プリンのおいしさは、なんといってもなめらかな食感! そのためにはすが立たないように火加減に注意しましょう。強火で1分蒸したら、弱火にしてやさしく火を入れていくのがポイントです。カラメルソースの焦がし加減はお好みでどうぞ。

ポイント❶
小鍋でカラメルソースを作ったら、マルチ保存容器へ。カラメルソースはでき上がるとすぐにかたまってしまうので、すぐに容器に入れます。大きなプリン作りに、マルチ保存容器の中サイズがぴったり。

ポイント❷
材料を混ぜ、カラメルソースがかたまったところに卵液を濾しながら流し入れます。カラメルソースを作る→冷やす→冷やしている間に卵液を作ると効率よく作れます。濾すのは茶漉しなどでもOK。

ポイント❸
プリンに水滴が落ちるのを防ぐため、蓋にはふきんなどを巻きつけ、引火しないよう上部でしっかり縛ります。また、蒸気の当たりをやわらかくしたいので、蒸気を逃がすために蓋の間に菜箸をはさみます。
ワタナベマキのもっと!おいしい道具
せっかく作ったプリンをもっとおいしく見せるために、のせる器にもこだわりたい。涼やかなガラスプレートなら、よりステキなデザートに!! 合わせるのは、最近はハーブティが好み。ガラスポットは、友達や家族との楽しいひとときを彩ってくれます。
ワタナベマキさん
1976年神奈川県生まれ。夫と息子、猫2匹と暮らす。グラフィックデザイナーを経て、2005年に料理家として活動を始める。日々食べるものをおいしくていねいに作るのが信条。素材の味をシンプルに引き出す料理、素材の組み合わせに定評がある。ライフスタイルに憧れるファンも多い。現在は、テレビ、雑誌、オンライン料理教室など幅広く活躍中。著書は『マキさんの極上シンプルおにぎり』(ワンパブリッシング)、『ほったらかしでおいしい!せいろでおかず蒸し』(Gakken)、『あたらしいみそおかず』(文化出版局)、『ワタナベマキの体に優しいいたわりスープ』(扶桑社)、『五感が喜ぶおいしい組み合わせ。おつまみ100』(宝島社)など多数。
https://maki-watanabe.com
Wa&_ (ワンダー)
1wa&_(ワンダー)は、現代版“にっぽんの味”を料理家ワタナベマキが提案するブランドです。"日々の食卓に、小さなワンダーを"をテーマに、世界各地の料理から受けたインスピレーションを繊細な和のテイストにアレンジしてお届けします。
ワタナベマキのおいしい本棚
撮影/福尾美雪
構成・文/飯村いずみ
アートディレクション/小橋太郎(Yep)