おろしたっぷりお雑煮と
シャキシャキれんこんなます
シャキシャキれんこんなます
おしゃれで簡単! 作る人に寄り添うレシピに定評のある料理家のワタナベマキさん。キッチンツールの著書があるほど道具や器選びにはこだわりがあり、「お気に入りの道具や器は、料理する気分を盛り上げてくれる大事な相棒」と語ります。そんなマキさんに、毎月、あると思わず料理がしたくなるキッチンツールを紹介してもらいます。今回紹介するのは、気持ちよく使えるおろしとスライサーです。
大根おろしは、実は地味に面倒くさい作業。できることなら、やりたくないし、家族の誰かに手伝ってほしいのが本音。でも、マキさんはこのおろしを使いたいために料理を考えることもあるといいます。「スタイリッシュなデザインに一目惚れしたのですが、見た目だけでなくとにかくスムーズにおろせるのが魅力です。おろし面のカーブがその秘密のよう。おろした大根がふわふわっとやわらかいのも私好みです。このおろしがわが家に来てから、大根おろしの出番が増えました」。
薄くスライスしたいとき、スライサーがあるとやはり便利です。「仕事柄、スライサーはいくつも持っていますが、この高速スライサーはとにかく効率よく切れます。先端にボウルにひっかけるところがついているため安定するのも、使いやすさのポイントの1つ。力もいらず、ササーッと切れるので、いろいろなものをスライスしたくなるんです。今回紹介したなます以外にも、大根やにんじんを長めにスライスして鍋の具にしたり。シャキシャキ感を楽しんでいます」。
実はお雑煮好き。お正月だけでなく、ときどき無性に食べたくなり季節に関係なく作ることもあります。わが家のお雑煮は、鶏肉やにんじん、大根などをしょうゆベースで煮たタイプ。最近は、大根おろしを入れるのも好きですね。甘めの味つけが多いおせち料理に、すっきりといただけるおろし雑煮がぴったりなんですよね。毎回、大根の消化酵素パワーってすごいなあと実感します。
材料
〈おろしたっぷりのわが家の雑煮(2人分)〉
鶏肉 120g
大根 150g
にんじん 30g
三つ葉 少々
切りもち 2個
だし(かつお昆布)350mL
酒 大さじ1
しょうゆ 小さじ2
塩 小さじ1/2
ゆずの皮 少々
〈れんこんなます(作りやすい分量)〉
れんこん 200g
にんじん 5㎝長さ(約70g)
酢、塩 各小さじ1/2
A
|ゆず果汁 大さじ1
|米酢 大さじ2
|砂糖 小さじ2
|塩 小さじ1/2
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*小さじ1=5mL、大さじ1=15mL、1カップ=200mLです。
作り方
〈おろしたっぷりの我が家の雑煮〉
① 鶏肉は3cm大に切り、塩少々(分量外)をふる。大根はすりおろし、軽く汁けを絞る。にんじんは7〜8mm厚さの輪切りにし、好みで型を抜く。
Maki's Memo
「肉は塩味をつけておくと、肉自体がおいしくいただけます」
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② 鍋にだし、酒を入れて中火にかけ、煮立ったら①を入れ、再び煮立ったらアクを取り除く。
Maki's Memo
「アクを丁寧に取り除くと、雑味がなくすっきりきれいな味わいに」
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③ しょうゆ、塩を加え、蓋をして弱めの中火で6分煮て、食べやすく切った三つ葉を加えてさっと煮て、火を止める。
Maki's Memo
「三つ葉は仕上げに加え、食感を残す程度にさっと火を通し、香りを立たせます」
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④ もちは魚焼きグリルまたはオーブントースターでこんがりと焼く。
Maki's Memo
「こんがりとした焼き色がつくと見た目においしそうなだけでなく、食感のアクセントにも」
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⑤ 器に③を盛り、④のもちをのせ、ゆずの皮を散らす。
Maki's Memo
「仕上げのゆずのおかげで、上品な香りがふわ~っと広がります」
〈れんこんなます〉
① にんじんは皮をむき、スライサーで縦にスライスする。れんこんは皮をむき、スライサーで薄くスライスする(太い部分は縦半分にしてからスライス)。酢少々(分量外)を入れた水に共に入れて5分ほどさらし、水けをきる。
Maki's Memo
「れんこんを薄くスライスしたいときには、スライサーが便利です」
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② 鍋に熱湯1ℓ、酢、塩を入れて中火にかけ、①を入れ、2分ほど透き通るまでゆで、ざるに上げる。
Maki's Memo
「湯に酢を入れるのは、れんこんの色をきれいに仕上げるため。塩は下味のため」
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③ ボウルにAを入れて混ぜ、②が温かいうちに加えてあえ、なじませる。
Maki's Memo
「野菜が温かいうちにあえると、味がよくなじみます」
マキさんのおいしいポイント
今回ご紹介した2品はどちらも食感の楽しい料理です。お雑煮に大根おろしが入るとさわやかさとほのかな甘みが加わるだけでなく、食感にも変化が生まれます。なますはシャキシャキサクサクと歯触りがいい。食感もおいしさの大事な要素ですよね。
ポイント❶
大根おろしをたっぷり用意してお雑煮に加えると、さっぱりといただけます。このおろしは、先端の突起がボウルにしっかりとフィットし、ハンドルも持ちやすく、力を入れずにおろせます。
ポイント❷
れんこんは包丁ではそこまで薄く切れないので、スライサーでごく薄くスライスするのがおすすめ。シャキシャキサクサクと軽い食感が楽しめます。
ポイント❸
にんじんはシャキッとさせるために水にさらしますが、れんこんが一緒なので、変色防止のために酢水にさらします。
ワタナベマキのもっと!おいしい道具
一年の初めにいただくものなので、お雑煮のお椀はやはり素敵なものを用意したい。でも、そのときだけだし…と、本漆の汁椀にはなかなか手が出ない方も多いようです。そこで、おすすめしたいのがHomelandの汁椀です。以前、このコラムでも紹介しましたが、タイのカオソーイやベトナムのお汁粉などエスニック系の料理にも合うので日常使いもでき、汁椀がぐっと身近な存在になります。
ワタナベマキさん
1976年神奈川県生まれ。夫と息子、猫2匹と暮らす。グラフィックデザイナーを経て、2005年に料理家として活動を始める。日々食べるものをおいしくていねいに作るのが信条。素材の味をシンプルに引き出す料理、素材の組み合わせに定評がある。ライフスタイルに憧れるファンも多い。現在は、テレビ、雑誌、オンライン料理教室など幅広く活躍中。著書は『マキさんの極上シンプルおにぎり』(ワンパブリッシング)、『ほったらかしでおいしい!せいろでおかず蒸し』(Gakken)、『あたらしいみそおかず』(文化出版局)、『ワタナベマキの体に優しいいたわりスープ』(扶桑社)、『五感が喜ぶおいしい組み合わせ。おつまみ100』(宝島社)など多数。
https://maki-watanabe.com
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(ワン・パブリッシング)
ストウブの鍋を使った、シンプルでおいしい無水蒸しレシピを紹介。材料を入れて火にかけるだけで完成し、素材本来の甘みやうまみがぎゅっと凝縮されます。各レシピには調理時間や鍋の中の様子の写真も掲載されており、ストウブ初心者でもわかりやすく、毎日の料理に取り入れやすい一冊です。
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(暮らしの手帖社)
この本でご紹介する「自家製冷食」は、温めるだけ、またはひと手間かけるだけですぐに食べられる、冷凍の作りおき料理。今までの作りおきとはひと味違います。保存期間が長い分、いつ食べるかは自由。おいしさが格段に長持ちするから、作りたての味をいつでも楽しめます。 「単に料理を冷凍保存するというだけではなく、食べるときにいかにおいしい状態で食べることができるか、その工夫をよく考えました」とワタナベマキさんは話します。 おいしいアイデアいっぱいのレシピの数々を、「DAILY編」と「SPECIAL編」の2冊に分けてご紹介しています。
Wa&_ (ワンダー)
wa&_(ワンダー)は、現代版“にっぽんの味”を料理家ワタナベマキが提案するブランドです。"日々の食卓に、小さなワンダーを"をテーマに、世界各地の料理から受けたインスピレーションを繊細な和のテイストにアレンジしてお届けします。
撮影/福尾美雪
構成・文/飯村いずみ
アートディレクション/小橋太郎(Yep)