料理家・ワタナベマキさん × Homeland

カオソーイ・チェー【タイ・ベトナム】

Homelandで作る、世界の料理・2025.06.13

季節感溢れるオシャレな料理、忙しい人にも寄り添うレシピが人気の料理家のワタナベマキさん。日々、気持ちよく食事を作るには、お気に入りのキッチンツールが欠かせないといいます。そんな道具好きのワタナベさんに、タイムレスコンフォートのオリジナルキッチンツール「Homeland」を使った世界の料理をリクエストするこの企画。今回ご紹介いただくのは、タイの「カオソーイ」とベトナムの「チェー」です。

Homelandとは?

「使い勝手の良い、長く使いたいもの」をコンセプトに、タイムレスコンフォートが提案するキッチンツール&テーブルウェアブランドです。日本各地で長年磨き続けられた技術を受け継ぐ職人たちと直接対話を重ねながら、今の私たちのキッチンや食卓にフィットする道具や器を形にしています。さりげないけれど一度使うと手放せなくなる道具、料理を魅力的に見せてくれる器作りを目指しています。サスティナビリティ(持続可能)なキッチンの実現、またメイドインジャパンの技術の継承を願い、ホームランド(母国)と名づけました。

もっと自由に使いたい、汁椀

「わ! 手になじみますね」とは、汁椀を手にとったときのワタナベさんです。「本漆の汁椀は、いつかはほしい憧れのアイテム。この汁椀は、本漆ならではのしっとりとした質感に加え、フォルムもステキですね。ポタージュなどの洋風スープを入れてもいいし、アジアの料理も似合いそう。アイスクリームやお煎餅を入れてもいいかも! 汁椀を和風の汁物だけに使うのはもったいないなあって思っていたので、仕舞い込まずにいろいろな使い方をしていきたいですね」。本漆の汁椀は、手入れが大変なイメージがありますが、洗った後にきちんと水けを拭き取り、ときどき磨けばずっと使えます。長く使いたい&使えるアイテムだからこそ、そろそろ揃えてみませんか?

Homelandの漆椀

Homelandの漆椀は、伝統の技術を大切にしながらも自由な発想でものづくりをしている福井県鯖江市の「土直漆器」で作っています。ここで使われる技法は「拭き漆」。漆を塗っては拭き取るという作業を繰り返すことで欅の木目の美しさが活き、独特のツヤが生まれ、素材の耐久性が高まります。また、「手にとり、口に触れる」という汁椀の特徴を考慮し、高台のつけ根にはちょうど指がフィットするくびれを作り、口の部分は極限まで薄く形作って口当たりをやわらかくする工夫をしています。大切な方へのプレゼントはもちろん、自分へのご褒美にもいいですね。

タイのカオソーイ

アジア好きの私が夏になると必ずといっていいほど作るのが、カオソーイです。ラオスのもタイのもどちらも好きですが、今回紹介するのはタイ版。ココナッツミルクにカレー粉を入れ、ひき肉などをトッピングするのが特徴です。まろやかなスープと辛味がクセになります。

#Recipe
カオソーイ

汁麺はスープが命! と、今回はココナッツミルクにひき肉のだしを加えて深みを出しました。ゆでたひき肉もトッピングとして使うので、無駄がありません。レモンをキュッと搾ってどうぞ。

材料(2人分)
中華めん 2玉(160g)
豚ひき肉 150g
紫玉ねぎ(粗みじん切り) 1/2個
にんにく(薄切り) 1かけ
しょうが(みじん切り) 1かけ
香菜(葉はざく切り、根は縦半分に切る) 20〜30g
 
|酒 50mL 
|水 2カップ
オリーブ油 小さじ2
みそ 大さじ2
豆板醤 小さじ1
塩 小さじ1/3
カレー粉 小さじ11/2
B 
|ナンプラー 大さじ2 
|ココナッツミルク 150mL
レモン(くし形切りの長さ半分に切る) 1/4個分

───
*小さじ1=5mL、大さじ1=15mL、1カップ=200mLです。

① ひき肉をゆで、ゆで汁と肉を分ける
鍋にを入れて中火にかけ、煮立ったらひき肉を入れ、ほぐしながらゆでる。再び煮立ったらアクを取り除き、ひき肉の色が変わったらざるに上げ、ひき肉と汁に分ける。
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Maki's Point
「ひき肉をゆで、ゆで汁はスープに肉はトッピングに使います。ゆでると肉特有の臭みも取れると一石二鳥です」

② 肉を炒める
フライパンにオリーブ油、にんにく、しょうが、みそ、豆板醤、のひき肉を入れ、中火で炒める。
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Maki's Point
「みそはコク、豆板醤は辛味を出すために炒めます。ひき肉全体にからめながら、香りが出てくるまで炒めるのがコツ」

③ 玉ねぎを炒める
ひき肉がポロポロになったら、紫玉ねぎを加えてさっと炒め、塩、カレー粉小さじ1/2を加え、炒め合わせる。
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Maki's Point
「紫玉ねぎは軽く透き通るくらいまで、さっと炒めればOKです」

④ スープを作る
鍋にのゆで汁、B、香菜の根を入れて中火にかけ、煮立ったら弱火にして5分ほど煮て、カレー粉小さじ1を加える。
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Maki's Point
「味の決め手のココナッツミルクを入れたら少し煮て、カレー粉で調味します。香菜の根は風味づけの役目です」

⑤ めんをゆでる
たっぷりの熱湯を沸かし、中華めんを袋の表示通りにゆで、ざるに上げて湯をきる。
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Maki's Point
「あれば卵めんがおすすめですが、中華めんならなんでも大丈夫!」

⑥ 仕上げ
汁椀にのめんを入れ、のスープを注ぎ、のひき肉と紫玉ねぎ、香菜の葉、レモンをのせ、カレー粉少々(分量外)をふる。
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Maki's Point
「炒めたひき肉をたっぷりのせて。レモンをジュッと搾るとさわやか!」

#Recipe
ココナッツ汁粉

チェーと呼ばれる、ベトナムの冷たいお汁粉です。
ココナッツミルクの甘い香りにホクホクのさつまいもがマッチ。


材料(2人分)
さつまいも 150g
マンゴー 1個(200g)
水 1カップ
ココナッツミルク 1カップ
砂糖 大さじ2〜3
氷 適量
ラム酒 適宜

作り方
 さつまいもは皮つきのまま乱切りにする。マンゴーは3㎝角に切る。
 鍋にさつまいも、分量の水を入れ、ふたをして中火にかけ、やわらかくなるまでゆでる。
 さつまいもを取り出し、ゆで汁にココナッツミルク、砂糖を加え、煮立ったら火から下ろして冷ます。
 器にさつまいも、マンゴーを入れ、粗熱がとれたを注ぎ、砕いた氷を加える。好みでラム酒などを加える。



教えてくれた人

ワタナベマキさん
1976年神奈川県生まれ。夫と息子、猫2匹と暮らす。グラフィックデザイナーを経て、2005年に料理家として活動を始める。日々食べるものをおいしくていねいに作るのが信条。素材の味をシンプルに引き出す料理、素材の組み合わせに定評がある。ライフスタイルに憧れるファンも多い。現在は、テレビ、雑誌、オンライン料理教室など幅広く活躍中。著書は『マキさんの極上シンプルおにぎり』(ワンパブリッシング)、『ほったらかしでおいしい!せいろでおかず蒸し』(Gakken)、『あたらしいみそおかず』(文化出版局)、『ワタナベマキの体に優しいいたわりスープ』(扶桑社)、『五感が喜ぶおいしい組み合わせ。おつまみ100』(宝島社)など多数。
https://maki-watanabe.com

Wa&_ (ワンダー)
wa&_(ワンダー)は、現代版“にっぽんの味”を料理家ワタナベマキが提案するブランドです。"日々の食卓に、小さなワンダーを"をテーマに、世界各地の料理から受けたインスピレーションを繊細な和のテイストにアレンジしてお届けします。

[New Book]
五感が喜ぶおいしい組み合わせ。
おつまみ100
宝島社
美しい彩りや盛りつけは見て楽しく、香りは嗅覚を刺激する。食感が楽しいおつまみは、後を引く……。そんな五感が喜ぶ、簡単なのにどこか新しい味のおつまみを100レシピ紹介。

梅干しは万能調味料
主婦と生活社
酸味と塩味はもちろん、果実ならではの香りもあり、和食から中華、洋風、エスニックまで、多彩な料理に展開できる梅干し。「私にとって梅干しは、基本調味料であり、万能調味料」と語るワタナベさんが、本書でとっておき梅料理60品を紹介。また、保存袋を使って1kgから気軽にはじめられる梅干し作りとQ&A、梅酢の活用アイデアまで網羅。梅干し&梅料理の決定版です!

ワタナベマキの
体に優しいいたわりスープ
扶桑社
「貧血」や「冷え」「便秘」「むくみ」「ほてり」…など、体の不調を感じるときに食べたいスープ、旬の素材のもち味を生かした「季節ごとに食べたい薬膳みそ汁」、時間がなくてもつくるのも食べるのも負担が少ない「ヘトヘトな日のお助けスープ」。仕事や家事、育児、介護、勉強…など、毎日がんばり人をいたわるスープとみそ汁66品を紹介。

あたらしい みそおかず
しょうゆのようにみそを使う!
文化出版局
健康食品としても注目を集める「みそ」。和風のイメージが強いですが、洋風、アジア風などの料理にもおどろくほどなじみます。しょうゆや塩のようにもっと気軽に使ってほしい万能調味料です。みそ漬け、和・洋・アジアのおかず、みそ汁、手作りみそ、金山寺みそなどを紹介。

ほったらかしでおいしい! 
せいろでおかず蒸し:
手軽に毎日ごちそう気分!
Gakken
近頃、調理器具の中でも人気が高いのが「せいろ」。せいろで蒸す料理は、調理のテクニックが必要ないので失敗が少なく、素材のうまみを引き出して、ほおっておくだけでおいしく仕上がります。毎日のごはん作りの中で、ぜひ取り入れて欲しい調理のひとつ。忙しいときほどせいろで蒸す調理が役に立ちます。ごちそう感いっぱいの蒸すおかずを紹介。

撮影/竹内章雄
構成・文/飯村いずみ
アートディレクション/小橋太郎(Yep)