みなさんは日々の暮らしで、どんな箸を使っていますか?
箸は日本人にとって欠かせない道具であり、日本の生活や精神に深く根付いた、切り離せない存在です。日本人の一生は、「箸に始まり、箸に終わる」と言われるほど関わりは深く、食事はもちろんさまざまな場面で重要な役割を果たしています。
毎日使う道具だからこそ、ちょっとこだわって良質な箸を選びたいものです。今回は、お箸の歴史や文化に触れながら、TIMELESS COMFORT厳選の箸と、自分に合った箸を見つけるためのポイントをご紹介します。
箸の歴史
食事の際に箸を使う文化圏は、中国、韓国、東南アジアなど世界の約30%に広がっています。欧米では日本料理や中華料理などアジア圏の料理が人気で、箸を使うことがトレンドとなっています。本場中国では「レンゲ」、韓国では「スッカラ」など、匙(さじ)とセットで使うことが一般的です。
日本で箸を食事に使う習慣が始まったのは鎌倉時代以降で、中国大陸の文化に影響を受けたことがきっかけとなりました。当初は匙と箸を併用していましたが、のちに武士を中心に箸だけで食事をするようになり、その文化が庶民にも広まっていきました。そして現在、日本では「マイ箸」文化が根付いており、日本独自のエコな文化として、世界中から注目を集めています。
箸はお祝い事にもよく使われます。例えば、赤ちゃんが生まれてから100日を祝って行われる“お食い初め”。「箸があるということは一生食べ物に困らない」という願いを込めて、赤ちゃんに初めて食べ物を食べるマネをさせる儀式が行われます。この時がファースト箸となることが一般的です。
また、「2本ないと意味がない」、「幸せの橋(箸)渡し」といった言葉遊びをかけて、結婚祝いの贈り物としても大変喜ばれます。さらに、長い箸の形状からは「長寿や健康を願う」という意味も込められ、長寿のお祝いに贈られることがあります。
箸は日本文化に深く根付いた重要な道具であり、多くの意味と願いが込められています。
塗り箸について
塗り箸が生まれたのは江戸時代中期です。福井県小浜市内の西津と呼ばれる地域で、竹に漆(若狭塗)を施して販売を始めたと言い伝えられています。
漆とは、ウルシの木から採取した樹液のことです。乾燥して固まった漆はとても硬く、防水効果や抗菌作用があり、熱や湿度、さらには酸やアルカリ、塩分などにも強く、天然の塗料や接着剤として用いられてきました。木などに漆を塗り重ねて作る漆器は、古くから日本の食卓を支えてきました。毎日“口に入れて使うもの”だからこそ、天然素材のものを選びたいという方も増え、今あらためて漆の塗り箸が見直されています。
箸が変わると味も変わる!?
調理道具と同じくらい、食事に使う道具も料理の味に大きく影響を及ぼします。
だからこそ、使い心地の良い自分に合ったものを選びたいと思いませんか?
箸選びのポイントを押さえて、おいしく味わえる自分だけの箸を見つけましょう!
自分に合ったサイズって?
昔から、自分の手に合う箸のサイズは「ひとあた半」と言われています。「ひとあた」とは、自分の利き手の親指と人差し指を直角に広げた対角線の長さのことを指します。この長さを1.5倍したものが「ひとあた半」となり、最も使いやすく、所作も美しく見える長さとされています。
*写真の場合、「ひとあた」は16㎝、「ひとあた半」は24㎝なので、この方に合った箸の長さは24㎝となります。あくまでも目安の長さなので、実際に持ってみた時のフィーリングやバランスも大事にして選んでみてください。
サイズ以外にも
押さえておきたい
4つのポイント
ポイント① 口あたり
箸先が丸いものは口あたりが良く、細いほど箸の存在を感じずに食事を楽しむことができます。お店で実際に口に入れてみることは難しいかもしれませんが、口あたりは料理の味に大きく影響する要素なので要チェックです!
ポイント② 掴みやすさ
先が細い箸は小さく細かいものを掴みやすく、太く丸い箸は納豆などを混ぜやすいのが特徴です。また、先が角になっている箸は麺類などの滑りやすいものをしっかりと掴むことができます。
ポイント③ 持ちやすさ
手に触れる持ち手の形は、丸や四角、八角形などさまざまで、持ちやすさに影響します。丸い持ち手は角が手に当たらず滑らかで、角があるものは指がしっかりとかかり、力をかけやすいため持った時の安定感があります。置いたときに転がりにくいのも特徴。また、軽い箸は持ちやすく、長時間使っていても疲れにくいですが、多少の重さがあったほうが安定感があると感じる人もいます。重さも結構好みが分かれるところです。
ポイント④ 素材・デザイン
箸の素材には、木や竹などの天然素材や、プラスチック、金属などさまざまなものがあります。
TIMELESS COMFORTでは口あたりのやさしい、天然素材の箸をおすすめしています。仕上げの素材には漆塗り、オイル塗装、ウレタン塗装、無塗装などがあります。また、デザインは自分が好きなものを是非選んでみてください!
TIMELESS COMFORT
おすすめ箸 5選
Homeland 箸 亀甲玉虫 2色
Homelandの箸は、全国の箸の80%以上の生産量を誇る一大産地、福井県小浜市(若狭地方)で作られています。「箸を通じて漆の魅力を伝えたい!」という思いから、試行錯誤の末に「拭き漆」という技法を選びました。この技法では、余分な漆を拭き取り、乾いたら磨く工程を繰り返すことで、自然の木目を生かしたやさしい艶が生まれます。そのため、今主流の樹脂製やウレタン塗装の箸にはない独特の風合いがあります。
名前は「亀甲玉虫」といい、亀甲模様の彫りを施した多面的なフォルムに光が反射して、まるで玉虫のように色が変わって見えることから名付けられました。この凹凸のおかげで、どこを持っても驚くほど手になじみます。長さは23㎝と男女兼用でお使いいただけるサイズで、幅広い方に愛用されています。
また、和洋中エスニックと料理のジャンルを問わず使うことができ、実店舗でも海外のお客様を中心に人気NO.1の箸です。亀甲模様は亀の甲羅のように固く身を守ることから「長寿」や「健康」の意味を持ち、お祝い事などギフトにもピッタリです。黒と茶の二色展開なので、色違いでそろえるのもおすすめです。
[サイズ] W23㎝ 約13g
Homeland 若狭食卓箸 2色
今回紹介する箸の中では一番重さがあり、手に持った時に安定感のある24㎝の長めの箸です。手の大きな方や、取り分け用にもおすすめです。四角形は転がりにくく、食材が掴みやすいのが特徴。麺類も滑らずしっかりと掴むことができます。箸先が細く、直線的でシンプルな飽きのこないデザインとなっています。
この箸は、色によって仕上げが異なります。「こげ茶」は、亀甲玉虫と同じ「拭き漆」で仕上げ、使い込むほど艶が増していく漆ならではの楽しみが味わえます。「赤茶」は何も塗装を施していない「無垢」と言われるもので、天然素材の質感を存分に味わうことができます。マニルカラという南米の木材を使用し、黒い縞のような木目と滑らかな質感を楽しめます。この木材はとても硬いため、箸先を細く加工でき、素のままでも十分な耐久性や防虫・防腐効果を備えています。長く使い続けることでシルバーグレーに色が経年変化していくのを楽しんでいただけます。たまに植物油(アマニ油やえごま油などの乾性油がおすすめ)を塗ってお手入れをすることでより長く使っていただけます。
[サイズ] W24㎝ 約15g
KIWAKOTO 箸 UMI 3種
テーブルウェアブランドKIWAKOTO(キワコト)の竹箸は、京都の伝統工芸の職人と共に作られました。箸先わずか約1㎜ととても繊細で軽く、口あたりの良い箸です。竹は成長の早さや丈夫さからサスティナブルな素材としても知られており、特有のしなりにより折れにくく、日常使いでも長く使うことができます。細身ですっきりとしたデザインは使う方の所作も美しく上品に見せます。今回ご紹介する箸の中では最軽量の約7g。持ち疲れしないのも魅力です。
キワコトの竹箸は、料理をより美味しくいただくことができ、一度使いだしたらやめられないと評判の人気商品です。
スタッフの中にもファンが多く、「この箸で冷奴をスッと切る時が快感!」という人もいるほど(笑)。
デザインは、シンプルな「白竹」と、職人の技により独特の柄を作り出した「胡麻竹」「図面竹」の個性的な3柄がありますので、お好みに合わせてお選びください。
[サイズ]W23㎝ 約7g
マツ勘 ふうふ箸
この箸は、黒と赤、長短セットという「夫婦箸(めおとばし)」の固定観念を取り払い、現代にマッチしたデザイン性の高い祝箸です。誰の手にも馴染みやすい丸みを帯びた四角形の持ち手と、同じ長さ、太さ、色の2揃いの箸。箸の天面は、白とナチュラルで色分けされています。
箸職人により、伝統技法の「堆朱(ついしゅ)」と呼ばれる塗りの技法を用いて、一つ一つ手作業で何度も塗り重ねを行っています。塗り重ねた後に表面を研ぎ、模様を出すことで、世界に一つだけのデザインが現れます。また、箸先には細かな滑り止めが付いているため、料理を掴みやすくなっています。さらに、ウレタン塗装を施しているので食洗機と乾燥機に対応しています。
パッケージも高級感のあるおしゃれな桐箱入りなので、ちょっと特別なお祝いや贈り物として大変人気のペアギフトです。性別や用途を問わず、幅広い方に喜ばれることでしょう。
[サイズ]W22.5cm 約15g
Homeland 若狭取り分け箸 2色
番外編として、取り分け専用の箸もご紹介します!
おすすめ箸その②のHomeland若狭食卓箸のサイズ違いです。
箸先が細く作られた28cmの箸は、調理から盛り付けまでこれ一つでこなしてくれる万能選手です。素材も硬く丈夫なマルニカラ材なので、箸さばきもよくデイリー使いにもってこい! 特に、お弁当の盛り付けなどの細かな作業にもぴったりです。ここまで先の細い取り分け箸はなかなか珍しく、「細い取り分け箸を探していたの!」と喜んでいただけることもしばしば。飾りっけのないシンプルなデザインは飽きることなく長く使えるため、毎日の料理や食事がより楽しみになることでしょう。一度使ったら手放せない取り分け箸です。
[サイズ]W28cm 約24g
箸のお手入れ
漆塗、無垢共に、使用後のつけ置き洗いは避け、汚れを中性洗剤で落とした後、お湯または水で優しく洗い流してください。スポンジを使う場合は柔らかい面を使ってください。
洗ったらすぐに布巾やキッチンクロスでしっかりで拭いて乾かしてください。
食洗機や乾燥機の使用はNG(ウレタン塗装の箸はOK)。
無垢の箸は表面が乾いてきたら、たまに植物油(アマニ油やえごま油などの乾性油がおすすめ)を塗ってお手入れをすることでより長く使っていただけます。
漆は日光で変色する可能性があるので、陽の当たらない場所で保管してください。
丁寧なお手入れを行うことで長く使うことができるので、定期的なケアを心がけましょう。
箸置きにもこだわりたい
デザインのバリエーションも豊富で、箸置きがあるだけでテーブルの雰囲気がガラッとかわります。気分や料理によって箸置きを選ぶのも食事の楽しみ。一点一点違う表情を楽しめるものをセレクトしました。
信楽焼きの箸置き&カトラリーレスト
釉薬の模様だけでなく、形にも個体差があり手作りならではの温かみを感じることができます。飯椀やお皿などシリーズ展開しているので、お揃いでギフトにもおすすめです!
砂岩(天然石)でできたカトラリーレスト
シャープなフォルムと、自然の作り出す模様の対比が楽しいアイテムです。お店で人気の一品で、箸置きとしてつかうことで食卓が上品な雰囲気になります。
(実店舗のみの展開です)
お気に入りの箸は見つかりましたか?
日本の伝統的な食文化を象徴する箸は、日々の暮らしに欠かせない存在です。ぜひ自分に合った素敵な箸を見つけて、豊かな食事を楽しんでください。
動画・撮影/上端春菜(bean)
アートディレクション/小橋太郎(Yep)