季節感溢れるオシャレな料理、忙しい人にも寄り添うレシピが人気の料理家のワタナベマキさん。日々、気持ちよく食事を作るには、お気に入りのキッチンツールが欠かせないといいます。そんな道具好きのワタナベさんに、タイムレスコンフォートのオリジナルキッチンツール「Homeland」を使った世界の料理をリクエストするこの企画。今回ご紹介いただくのは、カレー好きが一度は作ってみたい「スリランカカレー」です。
Homelandとは?
「使い勝手の良い、長く使いたいもの」をコンセプトに、タイムレスコンフォートが提案するキッチンツール&テーブルウェアブランドです。日本各地で長年磨き続けられた技術を受け継ぐ職人たちと直接対話を重ねながら、今の私たちのキッチンや食卓にフィットする道具や器を形にしています。さりげないけれど一度使うと手放せなくなる道具、料理を魅力的に見せてくれる器作りを目指しています。サスティナビリティ(持続可能)なキッチンの実現、またメイドインジャパンの技術の継承を願い、ホームランド(母国)と名づけました。

使い勝手いろいろな
フラットな皿
「わ!ステキな色!!」器を見た瞬間、そんな言葉がワタナベさんの口をついて出てきました。「なかなかないニュアンスのある色合いは、どんな料理にも合いそう。今回のカレーもとっても映える!(笑)パスタやサラダをのせたらキレイかも!? フラットだから、ソテーしたお肉とサラダ、ご飯を盛り合わせたワンプレートランチをのせてカフェ風にしてもよさそう……と、使い方をあれこれ考えるのが楽しい器ですね。取り皿にしてもいいですし。1枚持っているといろいろな使い方ができそうです」。何気なくさらっと盛りつけるだけでも絵になるところは、さながらキャンバス! そのままで、小鉢を重ねて……と自由に使ってください。

Homelandの信楽焼
青萩シリーズ
Homelandの青萩シリーズは、自由な発想と繊細な感性で表現する老舗の窯元「菱三陶園」で作っています。素朴なぬくもりのある信楽の土を使い、ろくろで丁寧に成形されます。自然由来の釉薬を使用しているため、個性的で唯一無二の色合いを楽しめます。また、高温で焼き締めることで強度が増し、金属のカトラリーを使っても傷がつきにくいのもメリットのひとつ。和食はもちろん、洋食、イタリアン、エスニック……とどんなジャンルの料理も受けとめてくれ、より魅力的に見せてくれます。
スリランカのカレー
スリランカは、私の今年行きたい国ランキングナンバー1。数年前にも行ったことがあるのですが、とにかく食べ物がおいしくて。毎日食べても全然飽きないどころか、どんどんクセになる! スリランカカレーの特徴である、ココナッツミルクの甘い香りと味わい、まぐろを乾燥させて固くしたモルディブフィッシュの風味とうまみが、そんなやみつきになる味わいを作っているのだと思います。
さらりとマイルドなスリランカカレーを、手に入りやすい材料で本場の味に近づけるよう工夫しました。小鉢に入れた副菜を混ぜながら食べるとより深い味になるので、ぜひ一緒に作ってみてください。バスマティライスのゆで方も併せてご紹介します。
材料(2~3人分)
鶏もも肉 300g
玉ねぎ(粗みじん切り) 1/2個
トマト(粗みじん切り) 1/2個(150g)
にんにく(みじん切り) 1かけ
しょうが(みじん切り) 1かけ
塩、小麦粉 各適量
オリーブ油 大さじ1/2
A
|ココナッツミルク 100mL
|かつお節 5g
ココナッツオイル(またはオリーブ油) 大さじ1
B
|シナモンスティック 1本
|赤唐辛子(種を取る) 1/2本
|カレーリーフ 3枚
|コリアンダーシード(つぶす) 小さじ1
|クミンシード 小さじ1
バター(無塩) 10g
ターメリックパウダー 小さじ1
粗びき黒こしょう 少々
───
*小さじ1=5mL、大さじ1=15mL、1カップ=200mLです。

① 鶏肉の下準備
鶏肉は余分な脂と筋と取り除き、水けを拭く。好みで皮を除いて8等分に切り、塩少々をふって小麦粉を薄くまぶす。
───
Maki's Point
「鶏肉に粉をまぶして焼くと、うまみを閉じ込めると共に香ばしい焼き色がつきます。茶漉しなどを使うと、薄くまぶせるのでおすすめ」

② 鶏肉を炒める
フライパンにオリーブ油、にんにく、しょうがを入れ、中火で炒める。香りが出たら①の鶏肉の皮目を下にして入れ、軽く焼き目がつくまで焼きつけ、返して肉面も軽く炒める。
───
Maki's Point
「にんにくやしょうがを炒めて香りを出し、鶏肉の臭みを消します。皮目は焼き色をつけると食べやすくなり、香ばしさもプラスされます」

③ かつお節などを入れて煮る
玉ねぎを加えて透き通るまで弱火で炒め、トマト、Aを加え、7~8分煮て、塩小さじ1を加える。
───
Maki's Point
「スリランカカレーの特徴であるモルディブフィッシュの代わりに使うのが、かつお節! たっぷり加えます」

④ テンパリングする
小さな鍋(またはフライパン)にココナッツオイルを入れて弱火で溶かし、Bを入れ、弱火で炒める。
───
Maki's Point
「ホールスパイスを油で炒め、油に香りつけることをテンパリングといいます」

⑤ テンパリングしたスパイスを加える
よい香りが出たらテンパリング完了。④に加え、全体に混ぜる。
───
Maki's Point
「焦げるとスパイスの香りが台無しになるので、加熱しすぎないよう香りが出てきたのを見逃さないようにしましょう」

⑥ パウダースパイスを加える
バター、ターメリックパウダーを加えて混ぜ、粗びき黒こしょうをふり、バスマティライスにかける。
───
Maki's Point
「パウダースパイスは香りが飛びやすいので、仕上げに加えます」
バスマティライスのゆで方

① 洗って水に浸水させ、ざるに上げる
バスマティライスはさっと洗い、ざるに上げて水けをきる。

② ゆでる
鍋にたっぷりの熱湯を沸かし、①を入れて12~15分ほど、芯がなくなるまでゆでる。

③ 蒸らす
ざるに上げて湯をきり、空の鍋に戻し、ふたをして15分蒸らす。

ポルサンボル
スリランカのココナッツのふりかけ。
カレーに混ぜて食べましょう。
材料(2人分)
ココナッツファイン 80g
紫玉ねぎ 1/2個
香菜 50g
A
|レモン汁 大さじ1
|ナンプラー 大さじ1
オリーブ油 大さじ1
粗びき黒こしょう 少々
作り方
① ココナッツファインにAを加え、よく混ぜる。
② 紫玉ねぎは縦薄切りにし、水に3分ほどさらして水けを拭く。香菜は葉を摘み、茎はみじん切りにする。
③ ①に②、オリーブ油を入れてサッと混ぜ、粗びき黒こしょうをふる。
いんげんのキラタ
スリランカのお惣菜です。
ココナッツミルクの甘味がたまりません。
材料(2人分)
さやいんげん 10本
トマト 1/2個(150g)
にんにく(みじん切り) 1かけ
しょうが(みじん切り) 1かけ
A
|シナモンスティック 1本
|赤唐辛子(種を取る) 1/2本
|コアンダーシード、クミンシード 各小さじ1
|塩 小さじ1/2
|粗びき黒こしょう 少々
|バター(無塩) 10g
|オリーブ油 大さじ1
ココナッツミルク 大さじ3
ターメリックパウダー 小さじ1
作り方
① さやいんげんは両端を落とし、2~3等分に切る。トマトはざく切りにする。
② フライパンににんにく、しょうが、Aを入れ、弱火にかける。香りが出たらさやいんげんを加え、中火で炒める。
③ さやいんげんがしんなりしたらトマト、ココナッツミルクを加え、ふたをして8分ほど煮る。ふたを取り、ターメリックパウダーを加えて軽く煮詰める。
ワタナベマキさん
1976年神奈川県生まれ。夫と息子、猫2匹と暮らす。グラフィックデザイナーを経て、2005年に料理家として活動を始める。日々食べるものをおいしくていねいに作るのが信条。素材の味をシンプルに引き出す料理、素材の組み合わせに定評がある。ライフスタイルに憧れるファンも多い。現在は、テレビ、雑誌、オンライン料理教室など幅広く活躍中。著書は『マキさんの極上シンプルおにぎり』(ワンパブリッシング)、『ほったらかしでおいしい! せいろでおかず蒸し』(Gakken)、『あたらしいみそおかず』(文化出版局)、『ワタナベマキの体に優しいいたわりスープ』(扶桑社)、『五感が喜ぶおいしい組み合わせ。おつまみ100』(宝島社)など多数。
https://maki-watanabe.com
Wa&_ (ワンダー)
wa&_(ワンダー)は、現代版“にっぽんの味”を料理家ワタナベマキが提案するブランドです。"日々の食卓に、小さなワンダーを"をテーマに、世界各地の料理から受けたインスピレーションを繊細な和のテイストにアレンジしてお届けします。
撮影/竹内章雄
構成・文/飯村いずみ
アートディレクション/小橋太郎(Yep)