Le regole delle buono cucina

第8回「ストウブでアツ冷パスタ」の巻

プロに教わる!おいしいの法則・2024.06.20

食べるの大好き。料理はそんなに得意じゃないけど、ワインやビール片手にチャチャッとおいしいものを作りたい。そんな方に贈る『プロに教わる!おいしいの法則』。

教えてくれるのは、三軒茶屋にあるシンプルで食べ飽きない料理とナチュラルワインが人気のイタリアンレストラン「ブリッカ」の金田シェフ。

「話題の余熱パスタのことが知りたい!」とお願いしたところ、自身の著書である『ストウブ1つでもちもち余熱パスタ』のことを詳しく紹介してくれた。

余熱パスタって、
こんなパスタ!

「余熱パスタ」は、ストウブで作るパスタです。ストウブは保温性が高く、火を止めてからしばらくは鍋の中は火にかけているのと同じ状態が続きます。その特徴をいかしたのが余熱パスタです。少ない水分で、鍋の蓋をしてゆでるため、パスタはもちもちとした食感に! さらには、つきっきりでなくても作れ、ガス代も節約できる、家計にもやさしいパスタ。イタリアンシェフである僕も虜になっちゃうくらいおいしいパスタなんです。

ストウブの特徴と注意点

ストウブは厚みのある鋳鉄製です。そのため、鍋全体がゆっくりと均一に温まり、一度温まったら冷めにくい。だから、余熱パスタが作れるのです。最大の特徴は、蓋の裏側についている突起。ココットの場合はピコ、ブレイザーの場合はシステマと呼ばれます。この突起は、加熱中に高温の蒸気を鍋の中で循環させる働きをします。

最後に、ストウブを使うときの注意点を。

①鍋を傷めるため、強火にはしないこと。
②内部の黒マット・エマイユ(ホーロー)加工を傷つけないよう、金属ヘラ、金属タワシは使用しない。
③鍋のつまみが熱くなるため、必ず鍋つかみを使う。


これだけ守ればずっと使えます。丈夫で便利な鍋は、プレゼントにもぴったりです。

#Recipe
アーリオオーリオの冷凍トマトおろしがけ

ストウブで作る余熱パスタは、バリエーション豊富。定番のトマトソースパスタ、ボンゴレ、ボロネーゼなどなど。つまりはどんなパスタもおいしく作れます。その中から今回ご紹介するのは、これからの季節にぴったりな温かいパスタに冷凍にしておいたトマトをすりおろしてかける、アツ冷パスタ。讃岐うどんで、冷たい麺を熱いだしにつけて食べる「冷やアツうどん」の逆バージョンです。アーリオオーリオパスタを作り、そこに冷凍にしておいたトマトをすりおろすだけととってもシンプルだけど、これがうまいのなんの! とにかく簡単だから、ぜひお試しを。この夏の定番パスタになることをお約束します!!

材料と作り方(2人分)
───
スパゲッティーニ(1.6㎜) 200g
トマト 小2個
 ⇒丸ごと冷凍しておく
にんにく 2かけ
バジル 6枚
オリーブ油(ピュア) 大さじ2
水 2カップ
塩 小さじ1と1/2
オリーブ油(EX.) 大さじ5
ゆずこしょう、バジルの葉 各適量
───
*小さじ1=5㎖、大さじ1=15㎖、1カップ=200㎖です。

① にんにくを切る
にんにくは縦半分に切ってから薄切りにする。

〈おいしいの法則①〉
夏にはパンチのあるパスタでパワーをつけたいと、にんにくはたっぷり2かけ。芽を取ってから薄切りに。芽がついていると焦げやすいからね。小さな素材を切ったり、芽を取るなどの細かい作業は、小回りが利くHomelandのペティナイフならやりやすいよ。同じくHomelandの正方形のひのきのまな板も、コンパクトでにんにくを切るのにぴったり。刃当りもやわらかく、ペアで使うと気持ちがいいほど使いやすい。

Homeland包丁・まな板

② にんにくを炒める
ストウブにオリーブ油(ピュア)、にんにくを入れ、弱火でじっくり炒める。

〈おいしいの法則②〉
火加減が強いとにんにくが焦げて、苦みが出るので注意しよう。鍋を傾けて油を溜め、にんにくを炒めると早く香ばしく炒められる。煮るだけでなく、炒めるのも得意なストウブだから、パスタ作りも鍋一つでOK! 洗いものが増えないのって、それだけでうれしいよね。

③ バジルを炒め、水を入れる
香りが出たら、バジルを軸ごと大きめにちぎって加え、分量の水、塩を加える。

〈おいしいの法則③〉
オイルにバジルの香りをつけよう。こうすると、食べたときにバジルの香りがふわ~っと薫るよ。

④ スパゲッティーニをゆでる
スパゲッティーニを半分に折って加え、中火にかける。スパゲッティーニをしっかり湯に浸らせ、煮立ったら蓋をして弱火で2分ほどゆでる。

〈おいしいの法則④〉
パスタがしっかり水に浸っていることが大事。ちゃんと浸ってないと、生ゆでになる可能性があるんだ。

⑤ 余熱でスパゲッティーニに火を通す
一度蓋を開けてパスタをしっかり混ぜ、再び煮立ったら蓋をして3分ゆでる。火を止め、そのまま5分ほど余熱で火を通す。

〈おいしいの法則⑤〉
ここでよく混ぜておかないと、パスタ同士がくっついて仕上がる場合も。しっかり混ぜておこう。ストウブなら鍋の蓋についているピコから水滴が降り注ぎ、パスタに味が染み込み、おいしくなるんだ。

⑥ 冷凍トマトをすりおろしてかける
ゆで上がったらオリーブ油(EX.)を加え、よく混ぜる。器に盛り、冷凍トマトをすりおろしながらふりかける。ゆずこしょうをのせ、バジルの葉を添え、混ぜながら食べる。

〈おいしいの法則⑥〉
トマトは冷凍しておいた方がすりおろしやすい。ひんやり感もプラスされ、一石二鳥!!

#Recipe
土鍋でイタリアンなシュリンプカクテル

夏なのに土鍋? とお思いでしょうが、夏だからこそ土鍋なんです。土鍋は冬にしか使わない人が多い。でも、こんなに便利な鍋を半年以上休ませておくのはもったいない!
そんな風に思ったワケです。土鍋の保温性のよさはお墨付き。ならば、加熱しすぎるとかたくなりがちな魚介は余熱で火を通したら失敗しないのでは?と思いつきました。レモンやハーブの風味や香りのついた湯で、芝えびをゆでる、ただそれだけ。でも、おつまみに最高のシュリンプカクテル風の完成~。

材料と作り方(2人分)
───
芝えび 150g
 ⇒ヒゲを取る

| タイム 3枝
| レモン 厚切り2〜3枚
| にんにく 1かけ
|  
⇒つぶす
| 水 2と1/2カップ
| 塩 小さじ1
ディル、セルフィーユ、レモン、オリーブ油(EX.) 各適量
───

① 香りをつけた湯を作る
土鍋にを入れ、蓋をして中火にかける。

〈おいしいの法則①〉
まずは、湯にレモンやタイムの風味や香りをつけ、おいしいゆで汁を作る。Homelandの土鍋の小サイズは直径22㎝とコンパクトで、おつまみ作りにも最適!

Homeland信楽焼土鍋

② えびをゆでる
煮立ったら芝えびを入れ、再び煮立ったら蓋をして10秒ほど加熱し、火を止めて5分ほどおく。

〈おいしいの法則②〉
芝えびを入れた直後は湯の温度が下がるから、必ずもう一度沸騰させ、10秒ほど加熱してから火を消そう。

③ 仕上げ
芝えびを引き上げて器に盛り、ディル、セルフィーユ、オリーブ油(EX.)をかける。レモンを添え、搾って食べる。

〈おいしいの法則③〉
火にかけたままだとオーバー加熱しやすい素材も、土鍋で余熱を利用すれば、パサつかない。しっかり湯をきって器に盛ろう。

”Mangiamo”
献立のポイント

休日の軽めのランチをイメージして考えたメニューです。せっかくの休みだし、昼から飲んじゃう!? ならば、ちょっとしたおつまみが欲しいね。暑いとずっと火の前で調理するのは辛いけど、余熱なら手軽だね! な~んて具合に、いつの間にか完成する2品です。冷凍トマトをふりかけたパスタとレモンをキュッと搾って食べるイタリアンシュリンプカクテル。どちらもさっぱりとしていて、するすると喉を通ります。ワインが進む組み合わせです。

『ストウブ1つでもちもち余熱パスタ』

文化出版局刊 1760円(税込み)

金田シェフがストウブを使い、家計にもやさしいほったらかしにできるパスタレシピを紹介。パスタといえば! の定番の味から、オリジナルのパスタ料理まで。本格的な味わいはレストランのシェフならでは。余熱パスタは独特のもちもち食感で、一度食べたらクセになる!
文化出版局Instagram/@books_bunka

教えてくれた人

金田真芳(かねだ まさよし)さん
「Bricca(ブリッカ)」&「Però(ペロウ)」オーナー兼料理長。都内イタリアンレストラン数店に従事し、2010年三軒茶屋にイタリアンレストラン「Bricca(ブリッカ)」開店。小学校高学年のころからラーメンの味変を楽しむなど料理に興味を持ち、高校卒業後料理の道へ。「イタリアンをベースに、自分の興味に素直に、自分が食べたい作りたい料理を作っていきたい」と語る。著書に『うち飲みワインのおいしいつまみ』(Gakken)がある。

撮影/キッチンミノル
スタイリング/久保百合子
構成・文/飯村いずみ
アートディレクション/小橋太郎(Yep)

プロに教わる! おいしいの法則