食べるの大好き。料理はそんなに得意じゃないけど、ワインやビール片手にチャチャッとおいしいものを作りたい。そんな方に贈る『プロに教わる!おいしい法則』。
教えてくれるのは、三軒茶屋にあるシンプルで食べ飽きない料理とナチュラルワインが人気のイタリアンレストラン「ブリッカ」の金田シェフ。
「料理初心者でも作れる、オシャレで気の利いた料理が知りたい!」と無理目のお願いをしたところ、シェフのモットーである「食材のもっともよいところを皿に表現する」料理でありながら、「シンプルで誰かにふるまいたくなる」料理を紹介してくれた。
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第2回目は「ピカタ」。
前回のパスタに添えて、
イカした献立を完成させよう。
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~今回のメニュー~
鶏ささみのハーブピカタ
レモンコンフィ添え
おいしいの法則①
ピカタで
パサつきがちな肉もおいしい‼
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トマトソース スパゲッティに合わせるメイン料理として思いついたのが、「鶏ささみのピカタ」。ピカタとは卵液をからめて焼く手軽な料理なんだけど、パサつきがちなささ身やむね肉などをおいしくしてくれる調理法なのだ。衣の中で蒸し焼き状態になるから、肉がしっとり。卵液にチーズをたっぷり加えたら、焼いてるそばから香ばしさがふわ~っ! いい香りに誘われて、焼ける前からワインを開けちゃいそうになる。いや、事実、開けている笑。焼いている途中でオイルを鍋肌から回し入れると、表面がカリッとより香ばしくなるよ。
材料と作り方(2人分)
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鶏ささ身 4本(270g)
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〈卵液〉
|卵 1個
|パルミジャーノ・レッジャーノ(粉末)
| 3と1/3(20g)
|オレガノ(ドライ) 小さじ1
|塩 1つまみ(1g)
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塩 小さじ1/2強(3g)
小麦粉 適量
オリーブ油(ピュアオイル) 大さじ1
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①ボウルに卵液の材料を入れ、混ぜ合わせる。
②ささ身は(気になるなら、筋を取る)塩を振り、小麦粉を薄くまぶす。
③フライパンにオリーブ油を熱し、②のささ身に①の卵液をからめて並べ、中火で3~4分焼く。焼き色がついたら返し、もう片面も3~4分焼く。鍋の縁からオリーブ油(ピュアオイル)少々(分量外)を回し入れ、中まで火が通ったら焼き上がり。
おいしいの法則②
「レモンコンフィ」で
ピカタを味変!
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食材を多めの油でゆっくりと煮るフランス料理の調理法「コンフィ」。この方法でレモンを煮たのが「レモンコンフィ」。作っておけば、かなりの日数、レモンの香りを楽しめるんだ。
見た目はジャムっぽいけど、甘くないから、ピカタやフライにつけたり、パスタのソースにしたり。鍋に材料を入れ、ふたをして弱火で30分ほど煮ればでき上がり。お店では、春には「カラスミ、レモン、青唐辛子のスパゲティ」を作っている。家でなら、カラスミの代わりに、アンチョビーやしらす、あさり、えび、肉ならひき肉にしてもおいしいよ。
材料と作り方(280㎖分)
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レモン(ノンワックス)
2個(250g)
オリーブ油(ピュアオイル)
1/2カップ強(100g)
塩 小さじ1/2弱(2g)
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①レモンは縦4等分にし、薄切りにする(写真)。
②小鍋に①、オリーブ油、塩を入れ、ふたをしてごく弱火にかけ、ときどき混ぜながら約30分煮る。
✔︎ 煮上がりはこんな感じ。
使った直径16㎝のソースパンは、レモンコンフィ作りに最適のサイズ。アンティーク調のハンドル、ふたのつまみもシャレてるでしょ。粗熱が取れたら、シンプルな保存瓶へ。
✔︎ 保存もできる。
トマトソースは瓶に入れて冷蔵庫で2~3日保存可。レモンコンフィは常温で3カ月ほど持つ。あれがある!と思うと、食事作りが楽しくなるんだな~。瓶は煮沸してから使うのも忘れずに。
”Mangiamo”
献立のポイント
卵をからめたピカタやトマトソースの味に、レモンコンフィの酸味や苦みが加わると、味のバランスがよくなる。ピカタはまずはそのまま食べ、レモンコンフィをつけたり、トマトソースをかけて味変すると楽しい。
→写真左
名称:インテジェル・グリッロ・スペリオーレ
種類:白(オレンジ)
生産者:デ・バルトリ
地域:イタリア シチリア
ぶどうの品種:グリッロ
価格:5500円(税込)
コメント:ワイン名の「インテジェル」はラテン語で「完全な」「元のまま」の意味。タイムレスコンフォートのコンセプト(時代を超えた心地よさ)に通じると思い、このワインを選びました。シチリアの代表的なぶどう・グリッロを皮ごとすべて醸造した力強い味わいが、時間が経つにつれてやわらかくなり、余韻がぐぐと広がるおいしさをお楽しみください。
→写真右
名称:ヴィーノロッソ
種類:赤ワイン
生産者:ダリオ・プリンチッチ
地域:イタリア フリウリ=ヴェネツィア・ジューリア
ぶどうの品種:メルロー、カベルネ・ソーヴィニョン
価格:4290円(税込)
コメント:生産者のダリオ・プリンチッチは、元々はワインやチーズなどの卸業を営んでいた、かなりの目利き。「セレクトのスペシャリスト」が作るワインは、世界中から上質なものを集めるタイムレスコンフォートにぴったりかと。このワインは、彼が自宅1階で開いている居酒屋のハウスワイン的存在。にんにくの利いた「トマトソース」やレモンコンフィを添える「ピカタ」と一緒に、ざぶざぶ飲んで欲しいです。
2種類の銅板の2重構造により熱伝導が効率的。
コンフィや煮込みにおすすめです。
金田真芳(かねだ まさよし)さん
「Bricca(ブリッカ)」&「Però(ペロウ)」オーナー兼料理長。都内イタリアンレストラン数店に従事し、2010年三軒茶屋にイタリアンレストラン「Bricca」開店。小学校のころからラーメンの”味変”を楽しむなど料理に興味津々。高校卒業後、料理の道へ。「イタリアンをベースに、自分の興味に素直に、自分が食べたい作りたい料理を作っていきたい」と語る。
熊本千絵(くまもと ちえ)さん
ワインストア&ワインスタンド「Però(ペロウ)」ソムリエール。都内イタリアンレストランでサービスに従事し、2020年より「Però」スタッフに。ワインは全く飲めなかったが、「飲める」「体が受け入れる」ワイン……自然な環境下で育ち、ケミカルなものに頼らず醸造したもの……との出会いからナチュラルワインの世界へ。「ワインは体に負担なく飲み進められるものかどうかが大切な気がします」。
もっと詳しく知りたい方は…
人気のナチュラルワインにも造詣の深い三軒茶屋のイタリアン『Bricca』の金田真芳シェフによるレシピ本『うち飲みワインのおいしいつまみ』(Gakken)販売中です。
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撮影・動画/上端春菜(bean)
構成・文/飯村いずみ
アートディレクション/小橋太郎(Yep)