料理家・ワタナベマキさん × Homeland

鴨のコンフィ【フランス】

Homelandで作る、世界の料理・2024.12.06

季節感溢れるオシャレな料理、忙しい人にも寄り添うレシピが人気の料理家のワタナベマキさん。日々、気持ちよく食事を作るには、お気に入りのキッチンツールが欠かせないといいます。そこで道具好きのワタナベさんに、タイムレスコンフォートのオリジナルキッチンツール「Homeland」で作る、世界の料理をリクエスト! 第4回目は年末年始に活躍しそうな「鉄フライパンで作る、鴨のコンフィ」です。

Homelandとは?

「使い勝手の良い、長く使いたいもの」をコンセプトに、タイムレスコンフォートが提案するキッチンツールブランドです。日本各地に昔から伝わる技術を継承している職人たちと対話を重ねながら、今の私たちのキッチンや食卓にフィットする道具や器を形にしています。さりげないけれど、一度使うと手放せなくなる。そんな道具作りを目指しています。

鉄フライパンを
オーブンに入れて使う

フライパンは断然、鉄派! というワタナベさん。鉄フライパンでは、焼く、炒めるのほかにオーブンに入れて使うことも多いとか。フライパンをオーブンで加熱?と聞くと、かなり上級者のような気がしますが……。「例えば、ハンバーグ。表面をこんがりと焼いてからフライパンごとオーブンに入れると、表面はこんがり中はふっくらと仕上がります。レストランなどでよく見かける手法で、この方法なら生焼けの心配もありません。今回ご紹介するコンフィのほかグラタンや肉や魚のオーブン焼きなども、フライパンごとオーブンで加熱することもあります」。

Homelandの鉄フライパン

燕三条で創業150 年を誇る鍛治屋「近藤製作所」さんと作った鍛造製フライパンです。鍛造ならではの蓄熱性に加え、取っ手を15㎝と短めにすることで重さを感じにくくしています。「同じ大きさの鉄フライパンに比べて持ち上げやすいと感じたのは、取っ手が計算されつくした長さだからなのですね。取っ手が短いから、オーブンに入れやすいのも魅力です。そのおかげで、料理の幅がグーンと広がりました。フォルムがカッコいいのでフライパンのまま食卓に出すことも。料理が冷めにくいので一石二鳥です」。

フランス人の保存の知恵に感激! 特別な日の鴨のコンフィ

コンフィは、フランスで保存食として使われてきた低温の油で煮る調理法です。「はじめてこの調理法を知ったときには、油で煮るって? とちょっと不思議に思いました。でも、そもそもは冷蔵庫のない時代に、長期保存するのが目的と知り、なるほどと思った覚えがあります。しかも、油で煮ることで余分な水分や脂が抜けて、うまみが濃厚になるんですよね。鍋に油を入れてガス火でじんわりと煮るコンフィもありますが、今回はオーブンに入れ、低温で加熱する方法にしました。オーブンに入れている間は手が離れ、温度も安定するので、気持ち的にもラクかなあと思います」。

#Recipe
鴨のコンフィ

鴨! そしてコンフィ! 間違いなくごちそうメニューです。わが家でも、クリスマスや誰かを招いたときなどの特別な日に作ります。油の中で肉にじっくり火を通すことで、しっとりとし、うまみが凝縮されます。オーブンにまかせてしまえば、そこまで手間がかからないんですよ。

材料(2人分)
鴨ロース肉 400g
じゃがいも 小5~6個
にんにく(薄切り) 1枚
ローズマリー 3本
ローリエ 2枚
塩 小さじ1
白ワイン、オリーブ油  各1/2カップ
米油(またはサラダ油) 1カップ
粗塩、粗びき黒こしょう 各適量
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*小さじ1=5mL、大さじ1=15mL、1カップ=200mLです。

① 鴨肉の下ごしらえ
鴨肉は余分な脂と皮を切り落とし、毛がついていれば取り除く。皮目にところどころにフォークで穴をあける。
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Maki's Point
「フォークで穴をあけておくと、焼いているときに脂が落ちやすくなります。また、味がよくなじみます」

② 鴨肉に塩をすり込む
の水けを拭き、両面に塩をしっかりとすり込む。
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Maki's Point
「塩味が薄いと味がぼやけるので、しっかりもみ込んでおきます。また、早めに塩をふると肉汁が出てしまうので、塩をすり込むのは焼く直前に!」

③ じゃがいもの下ごしらえ
じゃがいもは皮つきのまま半分に切る。
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Maki's Point
「オーブンでこんがり焼いたときに、皮もおいしいので皮つきのまま使います」

④ 鴨肉の皮目を焼く
鉄フライパンをよく熱し、軽く煙が軽く出てきたらオリーブ油少々(分量外)を熱し、の皮目を下にして入れ、強火で焼きつける。
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Maki's Point
「あまり動かさず、じっくり焼きます。皮目にこんがりとした焼き色をつけるとともに、余分な脂を出すためでもあります」

⑤ 120℃のオーブンで焼く
鴨肉を返して皮目を上にし、にんにく、ローズマリー、ローリエをのせ、じゃがいもを加える。白ワイン、オリーブ油、米油を注ぎ、120℃に予熱したオーブンで40分焼く。
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Maki's Point
「鉄フライパンなら、そのままオーブンに入れられて便利」

⑥ 途中、油をかける
途中で、2、3回油をまわしかける。焼き上がったらしばらくそのままおき、肉汁が落ち着いたら肉を取り出し、切り分ける。器に盛り、じゃがいもを添え、ローズマリー、にんにくを飾り、粗塩、粗びき黒こしょうを振る。
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Maki's Point
「途中で油を上からかけることで、皮目がパリッと仕上がります」

にんにくやローズマリー、じゃがいもと共に肉を盛り合わせたら、完成です。こわいくらい、ワインが進みます!

教えてくれた人

ワタナベマキさん
1976年神奈川県生まれ。夫と長男と猫2匹と暮らす。グラフィックデザイナーを経て、2005年に料理家として活動を始める。日々食べるものをおいしくていねいに作るのが信条。素材の味をシンプルに引き出す料理、素材の組み合わせに定評がある。ライフスタイルに憧れるファンも多い。現在は、テレビ、雑誌、オンライン料理教室など幅広く活躍中。著書は『マキさんの極上シンプルおにぎり』(ワン・パブリッシング)、『毎日のおかずはシンプルがいい』(エムディエヌコーポレーション)、『ほったらかしでおいしい! せいろでおかず蒸し:手軽に毎日ごちそう気分!』(Gakken)など多数。
https://maki-watanabe.com

Wa&_ (ワンダー)
wa&_(ワンダー)は、現代版“にっぽんの味”を料理家ワタナベマキが提案するブランドです。"日々の食卓に、小さなワンダーを"をテーマに、世界各地の料理から受けたインスピレーションを繊細な和のテイストにアレンジしてお届けします。

[New Book]
ほったらかしでおいしい! 
せいろでおかず蒸し:
手軽に毎日ごちそう気分!
Gakken
近頃、調理器具の中でも人気が高いのが「せいろ」。せいろで蒸す料理は、調理のテクニックが必要ないので失敗が少なく、素材のうまみを引き出して、ほおっておくだけでおいしく仕上がります。毎日のごはん作りの中で、ぜひ取り入れて欲しい調理のひとつ。忙しいときほどせいろで蒸す調理が役に立ちます。ごちそう感いっぱいの蒸すおかずを紹介。

撮影/竹内章雄
構成・文/飯村いずみ
アートディレクション/小橋太郎(Yep)