料理家・ワタナベマキさん × Homeland

キューバサンド【アメリカ】

Homelandで作る、世界の料理・2024.10.25

季節感溢れるオシャレな料理、忙しい人にも寄り添うレシピが人気の料理家のワタナベマキさん。日々、気持ちよく食事を作るには、お気に入りのキッチンツールが欠かせないといいます。そこで道具好きのワタナベさんに、タイムレスコンフォートのオリジナルキッチンツール「Homeland」で作る、世界の料理をリクエスト! 第2回目は「鉄フライパンで焼くキューバサンド」です。

Homelandとは?

「使い勝手の良い、長く使いたいもの」をコンセプトに、タイムレスコンフォートが提案するキッチンツールブランドです。日本各地に昔から伝わる技術を継承している職人たちと対話を重ねながら、今の私たちのキッチンや食卓にフィットする道具や器を形にしています。さりげないけれど、一度使うと手放せなくなる。そんな道具作りを目指しています。

鉄フライパンを使おう

いつかは欲しいキッチンツールのーつが、鉄フライパンです。フッ素樹脂加工のフライパンと違い、育てながら使えば何年も使えるのが魅力です。ただ「手入れが面倒くさそうだし、重いし……」と二の足を踏んでる人が多いのも事実。そこで、長年、鉄フライパンを愛用しているワタナベさんに、使い続ける理由を聞いてみました。「鉄フライパンのいいところは、何より表面がパリッと香ばしく焼けるところ。チキンソテーもハンバーグも表面がパリッと焼け、野菜炒めもシャキッと仕上がる。料理の腕が上がったかも!? と思わせてくれるんです。サイズも小さめを選べば、重さも気になりません」。

Homelandの鉄フライパン

燕三条で創業150 年を誇る鍛治屋「近藤製作所」さんに「鍛治技術を用いたフライパンを作りたい!」と相談してでき上がった、鍛造製のフライパンです。鍛造とは高温で熱した鉄を叩いて成形する製法で、熱伝導率が非常によく蓄熱性があるのが特徴。耐久性も高く、上手で長持ちします。「もともと鉄フライパンはフォルムも好きなのですが、ひとつひとつ手作業で鉄を打ち伸ばしているHomelandのフライパンは、無骨な感じもいいですね。焚火や炭火でも使用可能と聞き、キャンプ好きの私は次のキャンプに持っていこうと今から楽しみです」。

ときどき無性に食べたくなる、キューバサンド

映画やテレビドラマに影響され、料理を作ることも多いというワタナベさん。キューバサンドも数年前に話題になった映画を観たら無性に食べたくなり、作ってみたところ、家族に大好評! 今でも、日曜日のランチなどにときどき登場させるそう。「フランスパンを香ばしく焼いたときのカリカリ感がたまりませんよね。豚肉とチーズが入っているから、食べ盛りの息子も大満足です」

#Recipe 1
キューバサンド

カリカリのバゲットに、豚肉のうまみと甘み、コルニッションの酸味、チーズのコクとまろやかさが加わり……一度食べたらやみつき確実です。

材料(1人分)
バケット 1/2本
豚肩ロース肉(しょうが焼き用) 4枚
紫玉ねぎ 1/6個
コルニッション* 3個
チェダーチーズ(スライス) 1枚

|オレンジジュース(100%) 40mL
|ローズマリー 3枝 
|ローリエ 1枚
|はちみつ 大さじ1/2
|にんにく(すりおろす) 1/2かけ
オリーブ油 小さじ1
塩、粗びき黒こしょう 各少々
フレンチマスタード 大さじ1
バター 20g
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*コルニッション:フランスの、小ぶりなきゅうりのピクルス
*小さじ1=5mL、大さじ1=15mL、1カップ=200mLです。

① 豚肉をマリネする
豚肉は筋切りをし、混ぜ合わせたに半日ほど漬ける。
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Maki's Point
「オレンジジュースに肉を漬けると、その酸でやわらかくなります。ハーブは風味をつける役目、はちみつは甘みをつけるのと、肉をやわらかくするためです」

② 豚肉を焼く
フライパンをよく熱してオリーブ油を入れ、の汁けを軽くきってを加えて(ローズマリー、ローリエも一緒に焼く)中火で焼く。塩、粗びき黒こしょうで味を調える。
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Maki's Point
「ローズマリーは肉ととても相性のいいハーブ。マリネ液に入れたものを一緒に焼き、さわやかな香りをつけます」

③ 野菜、パンの下ごしらえ
紫玉ねぎは薄切りにし、コルニッションは縦半分に切る。バゲットの厚みを半分に切り、切り口にマスタードを塗る。
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Maki's Point
「バゲットの切り口、両方にマスタードをたっぷり塗ります。マスタードは辛みというより酸味と、バゲットに具材の水分が染みるのを防ぐ役目です」

④ パンに具はさむ
バゲットにチェダーチーズ、の豚肉、の紫玉ねぎ、コルニッションを順にのせ、はさむ。
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Maki's Point
「バゲットに肉汁や野菜の水分が染みないように、まずチーズをのせ、水分が染みるのをガードします」

⑤ パンを焼く
フライパンをよく熱し、軽く煙が出てきたらバターを入れて溶かしてをのせ、鍋の蓋やフライ返しなどで押しながら焼く。焼き目がついたら返し、同様に押しながら焼く。
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Maki's Point
「表面カリカリ!がキューバサンドのおいしさなので、鍋の蓋などでギュウギュウ押して、香ばしい焼き目をつけます」

⑥ 切る
半分に切り、器に盛る。好みのフルーツやミントを添える。
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Maki's Point
「バゲットから具が出ないよう、トングで押さえながら切ると、きれいに切れます」

マキ流 鉄フライパンの育て方

「鉄フライパンはハードルが高いイメージがありますが、実はお手入れもそんなに難しくないんですよ」とワタナベさん。ここでは、マキさん流の鉄フライパンを「使うときの準備」と「使用後のお手入れ」を教えていただきました。
*買ったばかりの鉄フライパンは、まず「焼き入れ」をしてください。

フライパンを使うとき

① 加熱する
ブラシや金ダワシできれいに洗ったら水分を拭き、中火にかける。徐々に温度を上げていき、少し煙が出るくらいまで温める。ときどきフライパンを傾けながら、全体を焼く。
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Maki's Point
「持ち手が熱くなるので、必ず鍋つかみやふきんを使ってください。また、換気するのも忘れずに」

② 油ならし
多めの油を入れ、弱火で3分ほど加熱する。フライパンを傾けながら、全体に油を回してなじませる。
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Maki's Point
「油を全体になじませ、フライパンに油の膜を作ります。油がこぼれないように注意してください」

③ 油ならし
余分な油をオイルポットに入れ、ペーパータオルで残った油を拭き取ると同時に、油をフライパンになじませる。
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Maki's Point
「余分な油を取った後、くず野菜を炒めるのもいいと思います」

使用後のお手入れ

① 洗う
熱いうちにブラシや金ダワシでごしごしと洗う。熱いうちだと、フライパンの余熱で汚れが落ちやすい。流水で冷ましながら洗う。
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Maki's Point
「洗剤を使うと、せっかくなじんだ油の膜が落ちてしまうので、水洗いしてください。持ち手のついたブラシなら、熱くなくおすすめ。もし洗剤を使用してしまっても、また「油ならし」をすれば大丈夫。酸が強い料理をした場合も油が落ちているので、使用後「油ならし」をしましょう」

② 水分を拭く
ペーパータオルやふきんで、残った水分を丁寧に拭き取る。
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Maki's Point
「この後火にかけますが、あらかた水分を拭いておきます」

③ 熱して乾かす
再び中火にかけ、水分をしっかり飛ばす。
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Maki's Point
「水分が残っているとサビの原因になるので、しっかり水分を飛ばします。この「乾燥」の作業がフライパンを長持ちさせます」

教えてくれた人

ワタナベマキさん
1976年神奈川県生まれ。夫と長男と猫2匹と暮らす。グラフィックデザイナーを経て、2005年に料理家として活動を始める。日々食べるものをおいしくていねいに作るのが信条。素材の味をシンプルに引き出す料理、素材の組み合わせに定評がある。ライフスタイルに憧れるファンも多い。現在は、テレビ、雑誌、オンライン料理教室など幅広く活躍中。著書は『マキさんの極上シンプルおにぎり』(ワン・パブリッシング)、『毎日のおかずはシンプルがいい』(エムディエヌコーポレーション)、『ほったらかしでおいしい!蒸し料理』(Gakken)など多数。
https://maki-watanabe.com

Wa&_ (ワンダー)
wa&_(ワンダー)は、現代版“にっぽんの味”を料理家ワタナベマキが提案するブランドです。"日々の食卓に、小さなワンダーを"をテーマに、世界各地の料理から受けたインスピレーションを繊細な和のテイストにアレンジしてお届けします。

撮影/竹内章雄
構成・文/飯村いずみ
アートディレクション/小橋太郎(Yep)