唯一無二のアートピースのような「TOOR COFFEE TABLE」
「えっ、切り株?」という声が聞こえてきそうなこちら。そう、ガラス板がのっていなければただの切り株、ではなく正確には木の根っこ。自然のままの木の根っこの上にガラス板を載せた、スペイン発のブランド、ダリールズが作る「TOOR(トアー) コーヒーテーブル」だ。自然が作り出す、ひとつとして同じものがない唯一無二の家具。まるでアートピースのような、稀有で貴重なテーブルなのである。天然の木が持つ力強さや造形美、気高さを最大限活かしたシンプルなデザイン。なのにリビングをこれひとつで個性的な空間にしてしまう圧倒的な存在感がある。まさにリビングの主役になるコーヒーテーブルだ。
樹齢百年近くの貴重なチークを再利用
テーブルのベースとなるウッド部分は今では大変貴重な木材、チークの根っこをカットしたもの。インドネシアの倉庫で、家具材としては使い道がなく、眠っていたチークの根っこを再利用できないか?と考え、生まれた。根っこの部分は、80〜100年近い年月をかけて育ってきたため、密度が高く、耐久性に優れ、天板を支えるテーブルのベースとしても最適。天然そのものの造形ゆえに、ひとつひとつ大きさや年輪、表情が違うのも魅力的だ。長年放置されてきた根っこが、プリミティブなフォルムと優しく滑らかな木肌の、とても表情豊かなテーブルとして見事に生まれ変わったのだ。チーク材は耐水性が高く、硬くて丈夫。昔から家具材として愛用され、ミッドセンチェリー期には北欧家具などにも多く用いられてきた。今ではわずかしか採れなくなり、とても貴重な木材となっている。
個性を活かす軽やかなデザイン
天板は軽やかな1枚ガラスをのせただけ。ベース部分の天然のチークの根っこが持つ個性を最大限に生かし、自然が造りだすフォルムを横からだけでなく、真上からもと全方位から堪能できるデザインだ。ガラス板をのせただけなので取り扱いに少しの配慮が必要ではあるが、それすらも愛おしくなる特別なテーブル。使えば使うほど木肌の色や味わいがさらに増し、経年変化をも楽しめる。タイムレスコンフォートで人気No.1のコーヒーテーブルだ。
dareels(ダリールズ)とは
30年以上続いた伝統的な家具メーカーを基盤に、2021年に生まれたスペインの家具ブランド。材料は古い建物や倉庫で用いられていたチーク材を再利用する、合法木材証明書(FLEGT/SVLK*)を得た木材のみを使用する、素材の美しさを活かしたタイムレスなデザインをモットーに、サスティナブルな家具づくりをする。
*合法木材証明書(FLEGT/SVLK*)とは
インドネシアに拠点を置く、適切な森林管理と違法伐採を根絶するための運営組織。インドネシアをはじめとする多くの国で材木や家具の合法性を示す指針となっている。
創業者・デザイナー/David Jofra(デビッド・ジョフラ)
スペイン・バルセロナにあるIEDヨーロッパデザイン研究所で製品開発研究をした経験をもとに製品をデザイン。研究所で培ったインテリアデザインの知識と自然素材が持つ本来の美しさを掛け合わせることで、ユニークなデザインを生み出している。
撮影/川上輝明(bean)
スタイリング/洲脇佑美
構成・文/鈴木奈代
アートディレクション/小橋太郎(Yep)