料理家・ワタナベマキさん

居心地のいい、自分空間の作り方
収納・デコレーション編

Comfort LIFE with...・2024.03.29
料理家・ワタナベマキさん

居心地のいい、自分空間の作り方
収納・デコレーション編

Comfort LIFE with...・2024.03.29
ワタナベマキさんのおにぎり教室開催!

5月2日(木)発売のワタナベマキさんの最新本「マキさんの極上シンプルおにぎり」 (ワン・パブリッシング)の出版を記念して、TIMELESS COMFORT自由が丘店にて、「おにぎり教室」を開催します!!Homelandの米炊き釜を使った美味しいご飯の炊き方や、美味しいおにぎりを作るコツなどを、マキさんの実演を通してレクチャーいただく、講座形式(デモンストレーション)でのおにぎり教室です。
おにぎり2種とおかず&汁物の「マキさん特製おにぎりプレートセット」に、最新本「マキさんの極上シンプルおにぎり」が付いてきます!

オシャレで手軽な料理はもちろん、素敵な暮らしぶりにもファンが多い料理家のワタナベマキさん。自宅で雑誌や書籍の料理撮影を行うことも多く、ほとんどの時間を家で過ごすといいます。そんなワタナベさんに、心地よい空間を作る秘訣を伺います。第2回目のテーマは「収納・デコレーション」です。

隠す、見せる。
アイテム別にメリハリをつけて収納しています。


 たくさんの物に囲まれているのに、すっきりと片付き、居心地のいいワタナベマキさん宅。リビングの壁面にあるサイドボードが印象的です。
「仕事柄、器がたくさんあるので収納にはそれなりの大きさの棚が必要ですが、背の低いサイドボードなら圧迫感がなく、扉付きで中身が見えないため片付いて見えるんです。棚の上は飾り棚として使うこともできますし。お気に入りのものを置いたり、ときには季節を感じさせるものも並べたり。棚の上はぎっしり埋めつくすのではなく、物を置かないスペース、余白を持たせて飾るのが私なりのルールです」。
 棚の中には器がびっしり。取り皿などにも使う平皿、鉢もの、塗器、お弁当箱……とアイテム別に分けて収納。
「ざっくりとですが、用途別に分けています。用途別なら自分以外の人も取り出しやすいし、サイズを揃えて収納すると数多く入れられ、小さい器が埋もれる心配もありません」。
 もう1つ部屋の雰囲気を作っているのが、ガラスの器を収納している大きな棚です。
「ガラスはたくさん並んでいても圧迫感がなく、日差しが注すとキラキラと輝いて美しいので、見せる収納にしています」。
 たくさんの器はサイドボードに入れて隠し、ガラスは見せる収納に。そのバランスが居心地のよさを生んでいるようです。

 サイドボードは、20年前に知り合いのインテリアデザイナーにオーダー。当時使用していた棚が使いやすかったので、奥行きや幅のサイズを合わせ、組み合わせてもバラバラにも使用できるよう同サイズを3つ作ってもらったそう。その後2回の引っ越しを経ましたが、運よく前の家にも今の家にもサイズが合い、現在も3つ並べて使用しています。
「無垢のウォールナット素材で昔はもう少し濃い色合いだったのですが、陽に焼けてかなり明るい色に」。
 サイドボードの上には、眺めているだけで幸せな気持ちになるよう好きなものを並べて。大好きな壺、愛猫家のワタナベさんならではの置物、高台の皿……。素材も形もさまざまですが、色や全体のトーンが近いせいかどこか統一感があり、しっくりなじんでいます。屋久島で購入したモビールもゆらゆら揺れて。
「サイドボードは飾ったものがちょうど目線の高さにくるため、飾り棚にぴったり。お気に入りのコーナー作りにちょうどいいですね」。

TC Staff comments───
タイムレスコンフォートでもサイドボードをいくつか揃えています。その中でも特に人気があるのが、北欧デザインを思わせるジュリーサイドボード。引き出しもついているので、細々としたものの収納にも便利。高さ800㎜と飾り棚にもちょうどいいです。

 サイドボードの上に余白を作ると、器を出し入れするとき、使用する器の一時置き場にもできます。
「撮影スタッフにお茶を入れるときにも、いったんここに置いて」。

 一番左の棚の上段には四角い木箱を入れ、その中にかごを入れてお箸やスプーン、フォークなどのカトラリー類を収納。細々としているものも、これなら探しやすく取り出しやすい。

 ガラスの器ばかりを収納した棚はアンティークショップで購入。棚の上には洋書やグリーンをのせて。食器棚の上以外にもワタナベさん宅のリビングダイニングには至る所にグリーンがあり、部屋全体に清々しい空気が流れています。
「グリーンに囲まれていると気持ちが落ち着きます。心も体も浄化されるよう。空気もきれいになる気がするんです」。

 玄関を入ったところにあるシェーカーボックスには、スリッパを収納。かなり大きなサイズですが、シンプルなデザイン、天然の木材のナチュラルな雰囲気も手伝い、圧迫感がありません。インテリアのポイントにもなっています。
「人の出入りが多いので、ボックスの上にはアロマデフューザーをのせて。いい香りでお客さまをお迎えしたいんです」。

 玄関のドアストッパーは、シューズの泥落としとしても使えるスグレモノです。
「愛らしいハリネズミに一目惚れ! 2匹連れて帰ってきました(笑)」。

TC Staff comments───
ハリネズミのドアストッパーは、ドイツの老舗ブラシメーカー、レデッカー製。その可愛らしさから見えるところに置いておきたくなります。レデッカーのブラシはハンドメイドのため味わい深く、環境にも配慮した製品作りで、スタッフからの人気も絶大です。

朝も夜もスープがあれば!
鍋ひとつでできるから、忙しいときにも大活躍

「スープが好き」というワタナベさん。鍋ひとつで作れるから手軽で、スープがあると食事に満足感が生まれるといいます。忙しい朝には、短時間で作れるスープが活躍。
「作るのが簡単だし、野菜をたっぷり摂れるのもスープのいいところ。起きたばかりでまだ頭がボーッとしている家族も、スープなら食べられるんですよね」。
 後は、こんがりと焼いたパンがあれば十分! スープを食べているうちに目が覚めてきて、「さあ、今日も一日頑張ろう」という気分になれるのだとか。スープは夜もほぼ毎日作るけれど、忙しいときほど活躍するそうで。
「家にいるけれど、急ぎでやらなければいけないことがある。そんなときにもスープが便利です。ほったらかしでも鍋と時間がおいしくしてくれますから」。

朝スープは小さな土鍋で作ることもあるというワタナべさん。土鍋のままテーブルへ。
「信楽焼きの土鍋は保温力が強くスープが冷めにくいので、家族で食べる時間が少しくらいズレても大丈夫。土鍋では珍しいこの色もお気に入りです。和風のスープだけでなく、洋風のスープにも不思議と似合うんですよね」。
土鍋をのせたボードは、実はまな板です。

「木目がきれいだし、耳の部分のデザインも美しいので、鍋敷代わりにしてもそのままテーブルに出すことも」。

Homeland | 信楽焼 土鍋

「毎朝、パンは鉄のフライパンで焼いています。ガス火だから表面がこんがりと焼けるんです」。
鉄フライパンは表面温度が高くなるため、パンが短時間で香ばしく焼けます。使い込むほどどんどん手になじみ、使いやすくなる。まさに”一生もの”の調理道具です。

Homeland | 鍛造フライパン

じっくりことこと煮込むスープは、ストウブで作ることが多いというワタナベさん。
「ストウブはいくつか持っていますが、最近のお気に入りはこの高さがあるタイプ。直径20㎝で幅をとらないのに高さが約17㎝もあるので、具だくさんスープも作れます」。
ストウブならではのふたについている突起(ピコ)のおかげで、食材の凝縮したうまみが食材に降り注ぐから、素材がふっくらジューシー。この日のスープの肉も、ほろりとほぐれるほどやわらかく、噛むごとにジュワ~とおいしさが口いっぱいに広がりました。

STAUB | グランドココット
#Recipe

春のミネストローネ

材料(2人分)
ソーセージ 4本
新じゃがいも 2個
新玉ねぎ 1/2個
グリンピース 8本(正味約15g)
ミニトマト 8個
オリーブ油 小さじ2
塩 適量
白ワイン 1/4カップ
水 1と1/2カップ
粗びき黒こしょう 少々

作り方
 新じゃがいもは皮つきのまま、2cm角に切る。新玉ねぎも2㎝角に切る。グリンピースはさやから実を出す。ミニトマトは半分に切る。ソーセージは1cm幅に切る。

 鍋にオリーブ油を熱し、の新じゃがいも、新玉ねぎ、ソーセージを入れて中火で炒め、透き通ってきたら塩少々をふる。

 グリンピース、ミニトマト、白ワイン、分量の水を加え、煮立ったらアクを除き、ふたをして弱めの中火で6~7分煮て、塩小さじ1/2、こしょうで味を調える。

#Recipe

豚肉とかぶのスープ

材料(2人分)
豚肩ロース肉(ブロック) 400g
かぶ 3~4個(350g)
新玉ねぎ 1個
にんにく(つぶす) 1かけ
塩 適量
ごま油 小さじ2
酒 1/2カップ
水 適量
三つ葉 1/2束(30g)

作り方
 豚肉は塩小さじ1をしっかりとすり込む。

 かぶは葉を5㎜ほど残して切り落とし、皮つきのまま根元をよく洗う。新玉ねぎは縦4等分に切る。

 鍋にごま油、にんにくを入れて中火で炒め、香りが出たらを入れ、焼きつける。全体に焼き目がついたら新玉ねぎを加え、さっと炒める。

 酒を入れ、水を加えてひたひたにして中火にかけ、煮立ったらふたをして弱めの中火で40分煮る。かぶ、塩少々を加え、ふたをしてさらに20分煮る。

 の豚肉を取り出し、食べやすい大きさに切って器に盛る。野菜、スープを注ぎ、ざく切りにした三つ葉をのせる。

Profile
ワタナベマキ

1976年神奈川県生まれ。夫と長男と猫2匹と暮らす。グラフィックデザイナーを経て、2005年に料理家として活動を始める。日々食べるものをおいしくていねいに作るのが信条。素材の味をシンプルに引き出す料理、素材の組み合わせに定評がある。ライフスタイルに憧れるファンも多い。現在は、テレビ、雑誌、オンライン料理教室など幅広く活躍中。
https://maki-watanabe.com

ワタナベマキさんの著書のほんの一部をご紹介。『毎日のおかずはシンプルがいい』(エムディエヌコーポレーション)、『アジアの煮込み』『うちの台所道具』(主婦と生活社)、『疲れないからだになる鉄分ごはん』(家の光協会)、『まずは塩しましょう。無駄なくおいしく食べきる』(KADOKAWA)など多数。

撮影/福田喜一
構成・文/飯村いずみ
アートディレクション/小橋太郎(Yep)