料理家・こてらみやさん

『レモンの料理とお菓子』

おいしい、一冊・2024.03.07

毎日の料理が楽しく、おいしくなる。そんな一冊を不定期にご紹介していきます。たくさんの料理本の中からこれぞと思う一冊をTCスタッフが選びました。料理好きな人にも苦手な人にも役立つ知恵がいっぱい詰まっています。今回は、人気料理家・こてらみやさんの『レモンの料理とお菓子』(山と渓谷社)。本の中から「レモンの塩コンフィ」とそれを使った「レモンミートボールとミニトマトのオーブン焼き」をご紹介します。

レモンライフを1年中
楽しみましょう!

 わが家のベランダには、レモンの鉢植えが2鉢あります。1つはレモンとオレンジを掛け合わせたマイヤーレモン、もう1つはリスボンレモンです。
 マイヤーレモンは皮が薄くて酸味が穏やか。苦みが少ないので、マーマレードや甘コンフィなどを作るのに最適の品種です。リスボンレモンはしっかりとした酸味と香りがあり、レモンといえばまさにこの味! ともいえる品種です。どちらも農薬を使わずに育てているので、果汁だけでなく、皮まで余すことなく使えます。
 レモンの料理というと、エスニックやイタリアンなどをイメージする方が多いと思いますが、和食にもよく合います。しょうゆとの相性のよさはいうまでもなく、甘い白みそにレモンを組み合わせるとキリリとしたおいしさになります。また、レモンには臭みをおさえる効果があるので、いわしやあじなどの青魚の料理にも重宝します。
 ひと昔前と違って、いまは国産の無農薬、ノーワックスのレモンが入手しやすくなりました。果汁を搾るだけでなく、皮も使うことで料理の幅がぐんと広がります。国産レモンが出回る時期に、ぜひいろいろ仕込んで1年中レモンを楽しみましょう!

『レモンの料理とお菓子』より

国産レモンは皮から果汁まで
丸ごと使いきりましょう

ひと昔前は、レモンといえば輸入レモンが当たり前でしたが、近年は広島、愛媛、和歌山など国内でも栽培されています。国産レモンの収穫時期は10月頃から翌3月頃。スーパーマーケットなどでは、収穫時期をすぎても貯蔵したものが6月頃まで長く出回ります。夏のイメージが強いレモンですが、国産ものは本格的な夏が始まる前に店頭から姿を消すので、旬の時期に保存食や仕込みものを作っておくと、1年中レモンライフが楽しめます。

『レモンの料理とお菓子』より

レモン好きなら絶対ハマる、さわやかでさっぱりおいしいレシピを73種類も収録!

レモンの塩コンフィなどの保存食と仕込みもの15種類

レモンハーブフライドチキン 

レモンチキンカレー 

レモンドーナッツ

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#Recipe
レモンの塩コンフィ
薄切りレモンを塩漬けにして
煮ものや蒸しものの具材兼調味料に
『レモンの料理とお菓子』より

材料(作りやすい分量)
レモン 2個
塩 レモンの重量の40%
レモンの搾り汁 適量

 レモンは両端を切り落として5㎜厚さの輪切りにし、竹串などで種を取る。重さを量り、分量の塩を用意する。
 大きなボウルにと塩を入れ、レモンに塩をまんべんなくまぶす。
 清潔な保存びんにをぎゅうぎゅうに詰める。ボウルに残った塩や果汁も残さず入れて、上からぎゅっとレモンを押し込んで沈める。
 レモンが果汁に浸からなければ、重量を計量したレモンの搾り汁をかぶるくらいに加え、搾り汁の重量の40%の塩を足す。
 ふたをして日の当たらない涼しい場所で2週間ほど漬ける。2日に1回びんをふってレモン全体に汁をなじませる。
*塩は完全に溶けきらずに底にたまる。

保存
冷蔵で保存すると、少しずつ熟成が進んで味がなじんでいく。熟成を止めたいときは冷凍で保存する。冷蔵なら1年ほど、冷凍なら2年以内に使いきる。

使い方
煮込み料理や蒸しものなどに具材・調味料として使う。加熱すると皮までやわらかくなり、風味も適度に抜けて食べやすくなる。

#Recipe
レモンミートボールとミニトマトのオーブン焼き
レモンの葉の香りがかすかにミートボールに移ります。
焼けたミニトマトをつぶして、ソースのようにからめながら召し上がれ。
『レモンの料理とお菓子』より

材料(2〜3人分)
ミニトマト 16個
レモンの葉* 適量
合いびき肉(よく冷やす) 300g 
A
レモンの塩コンフィ
 (汁けを拭いてみじん切り) 大さじ1
パルミジャーノ・レッジャーノ(粉) 大さじ2
|にんにく(みじん切り) 1かけ分
|粗びき黒こしょう 少々
|パン粉 1/2カップ
|卵 1個
|牛乳 大さじ3
オリーブオイル 適量
*なければローリエやローズマリーで代用する。

 ミニトマトはへたを取る。レモンの葉はきれいに洗って乾かす。
 ボウルにひき肉とAを入れ、粘りが出るまで手で練り混ぜる。10等分に分け、空気を抜きながらボール状に丸める。
*ひき肉はよく冷やしておき、冷たいうちに手早く練り上げる。温まると脂が溶けて食感が悪くなる。
*ここでオーブンを200℃に予熱する。

③ オーブンに入る大きさの鉄製フライパン、または耐熱容器にオリーブオイルを塗り、を並べ入れる。間にレモンの葉をはさみ、隙間にミニトマトを入れる。
④ 予熱したオーブンに入れ、15分焼いて中まで火を通す。
*焼き上がりの目安は、ミートボールに焼き色がつき、押してみてしっかりと弾力を感じるくらい。

『レモンの料理とお菓子』
定価 1,980円(税込)
料理とお菓子(山と溪谷社)

こてらみや

フードコーディネーター、料理家。京都生まれ。保存食、スパイスや香味野菜などの香りを生かした料理に定評がある。レシピ制作からスタイリングまで、食の総合コーディネーターとして活躍するかたわら、レモンなどの果実やハーブ、季節の花々が育つベランダガーデンの手入れにも日々精を出す。著者に『魔法のびん詰め』(三笠書房)、『まいにち生姜レシピ』(池田書店)、『料理がたのしくなる料理』(アノニマ・スタジオ)などがある。

撮影/キッチンミノル 
スタイリング/久保田朋子
アートディレクション/
小橋太郎(Yep)