季節感溢れるオシャレな料理、忙しい人にも寄り添うレシピが人気の料理家のワタナベマキさん。日々、気持ちよく食事を作るには、お気に入りのキッチンツールが欠かせないといいます。そこで道具好きのワタナベさんに、タイムレスコンフォートのオリジナルキッチンツール「Homeland」で作る、世界の料理をリクエスト! 第5回目は寒い季節にぴったりの「土鍋で作る、カムジャタン」です。
Homelandとは?
「使い勝手の良い、長く使いたいもの」をコンセプトに、タイムレスコンフォートが提案するキッチンツールブランドです。日本各地に昔から伝わる技術を継承している職人たちと対話を重ねながら、今の私たちのキッチンや食卓にフィットする道具や器を形にしています。さりげないけれど、一度使うと手放せなくなる。そんな道具作りを目指しています。
土鍋をもっと自由に使おう
土鍋料理と聞いてまず思い浮かぶのは、おでんや寄せ鍋などの日本の鍋料理ですが、ワタナベさんは土鍋で韓国料理を作ることも多いそう。「韓国にはたくさんのおいしい鍋料理や煮込み料理、スープがあります。コチュジャン入りの料理なら、いつまでも身体がポカポカ! 血行がよくなるから、家族から「風邪っぽい」と聞くと迷わず作ります。鍋料理だけでなく煮込みもスープも土鍋で作って、カセットコンロを使わずにテーブルへ。土鍋は一度温まったら冷めにくいから、そんなこともできるんですよね。土鍋=日本の鍋料理、の固定観念をなくしたら、土鍋の出番が俄然増え、料理の幅もぐんと広がりますよ」。
Homelandの土鍋
土鍋ならではの蓄熱性などの機能性はそのままに、こだわったのは日本のキッチン事情を考慮した収納のしやすさ。加えて、人気の秘密はそのシンプルなデザインです。「いかにも和風! の土鍋が多い中、Homelandの土鍋は無国籍な雰囲気も魅力です。特に今回使用したスカーレット色(緋色)は土鍋では珍しいカラー。かつては琵琶湖の底の古琵琶湖層の土を練り、松の木をくべて起こした火で焼くことで表現していたそうです。和風はもちろん、アジアン料理も洋風料理も受け止めてくれ、ずっと飽きずに使い続けられそうです」。
家族にも人気! ボリューム満点なカムジャタン
韓国語で、カムジャはじゃがいも、タンはスープのこと。直訳するとじゃがいものスープですが、カムジャタンはごろんと大きめのじゃがいもとスペアリブを煮込んだ料理です。「本場韓国でもっとも感動した料理のひとつです。時間はかかるけれど手間はかからないし、主材料がスペアリブとじゃがいもだけとシンプル。なのに、クセになるおいしさは、まさに韓国料理の真骨頂です」。
スペアリブのおいしさはもちろんのこと、肉やスープのうまみをぐーっと吸い込み、ホクホクになったカムジャ(じゃがいも)のおいしいこと! そして、もう一つのお楽しみは鍋の後の〆ご飯です。ラーメンを入れる家庭もあるようですが、わが家は断然チャーハン派。鍋底に押しつけるように広げて焦げたご飯のおいしさは何ともいえないのです。
材料(2人分)
豚スペアリブ 4本(400~450g)
じゃがいも 3個(450g)
長ねぎ 1/2本(50g)
にんにく(つぶす) 1かけ
しょうが(皮つきで薄切り) 1かけ
ごま油 小さじ2
A
|酒、みりん 各大さじ2
|水 2カップ
B
|しょうゆ、みそ 各大さじ1
|コチュジャン 小さじ2
えごまの葉 2枚
白すりごま 小さじ1
ご飯、韓国のり、細ねぎ(小口切り) 各適量
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*小さじ1=5mL、大さじ1=15mL、1カップ=200mLです。
① スペアリブの下ごしらえ
スペアリブは鍋に入れ、かぶるくらいの水を加えて中火にかける。煮立ったら5分ほどゆで、ざるに上げて冷水で洗い、水けをふく。
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Maki's Point
「さっとゆでて、表面の汚れや脂を取り除きます」
② 野菜をを切る
じゃがいもは皮をむいて2等分に切り、面取り(=角を薄くそぎ取る)する。長ねぎは5cm長さに切る。
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Maki's Point
「じゃがいもは面取りしておくと煮くずれが防げ、仕上がりがきれいになります」
④ 調味料、水を注ぎ、煮る
長ねぎ、にんにく、しょうが、Aを加え、煮立ったらアクを除き、蓋をして弱火で30分煮る。
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Maki's Point
「スペアリブは火が通るのに時間がかかるので先に入れて煮ます。一緒に、臭み抜きの長ねぎ、しょうが、にんにく、酒も入れます。酒には、肉をやわらかくする作用もあります」
⑤ じゃがいもを入れ、コチュジャンで味つけ
じゃがいも、合わせたBを加えてなじませ、蓋をしてさらに30分煮る。じゃがいもがやわらかくなったらでき上がり。器に盛り、えごまの葉をちぎってのせ、白すりごまをふる。
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Maki's Point
「スペアリブにある程度火が通ってから、じゃがいもを加えます。しょうゆやみそには肉をかたくする作用があるので、最初から入れず、このタイミングで」
⑥ 汁にご飯を入れてチャーハンを作る
食べ終わった土鍋にご飯を加え、全体に味をからめ、鍋全体に平らに広げて中火で焼きつける。そのまましばらく焼きつけ、底に焼き色がついたら、韓国のり、細ねぎをふる。
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Maki's Point
「味を全体にからめ、全体に押しつけるように広げたら、あまりいじらずに底面を焼きます。お焦げを作るような感覚で!」
残ったスープにごはんを入れてチャーハンにするのが、わが家のお約束。これが食べたくて、カムジャタンを作るといっても過言ではないほど!
ワタナベマキさん
1976年神奈川県生まれ。夫と長男と猫2匹と暮らす。グラフィックデザイナーを経て、2005年に料理家として活動を始める。日々食べるものをおいしくていねいに作るのが信条。素材の味をシンプルに引き出す料理、素材の組み合わせに定評がある。ライフスタイルに憧れるファンも多い。現在は、テレビ、雑誌、オンライン料理教室など幅広く活躍中。著書は『マキさんの極上シンプルおにぎり』(ワン・パブリッシング)、『毎日のおかずはシンプルがいい』(エムディエヌコーポレーション)、『ほったらかしでおいしい! せいろでおかず蒸し:手軽に毎日ごちそう気分!』(Gakken)など多数。
https://maki-watanabe.com
Wa&_ (ワンダー)
wa&_(ワンダー)は、現代版“にっぽんの味”を料理家ワタナベマキが提案するブランドです。"日々の食卓に、小さなワンダーを"をテーマに、世界各地の料理から受けたインスピレーションを繊細な和のテイストにアレンジしてお届けします。
撮影/竹内章雄
構成・文/飯村いずみ
アートディレクション/小橋太郎(Yep)