季節感溢れるオシャレな料理、忙しい人にも寄り添うレシピが人気の料理家のワタナベマキさん。日々、気持ちよく食事を作るには、お気に入りのキッチンツールが欠かせないといいます。そこで道具好きのワタナベさんに、タイムレスコンフォートのオリジナルキッチンツール「Homeland」で作る、世界の料理をリクエスト! 第3回目は「土鍋で作る、酸菜白肉鍋(サンツァイバイローグオ)」です。
Homelandとは?
「使い勝手の良い、長く使いたいもの」をコンセプトに、タイムレスコンフォートが提案するキッチンツールブランドです。日本各地に昔から伝わる技術を継承している職人たちと対話を重ねながら、今の私たちのキッチンや食卓にフィットする道具や器を形にしています。さりげないけれど、一度使うと手放せなくなる。そんな道具作りを目指しています。
1年中、土鍋を使おう
土鍋は冬というイメージが強いですが、ワタナベさん宅では1年中使うといいます。その理由を聞いてみると……。「野菜と肉や魚介が一度に食べられる鍋料理は、それだけで栄養満点。手間もかからないから、忙しい日にはもってこいです。私の好きな韓国をはじめとするアジア各国にはいろいろな鍋料理があって、その中には冬だけでなく夏に食べたくなるものも多いんです。だから、1年を通して鍋料理を食べます。それに、素材にやさしく熱を通してくれる土鍋を、鍋料理だけに使うのはもったいないなあって。炊きこみご飯や煮物、蒸し物を作るときにも活躍させています」。
Homelandの土鍋
信楽焼の素朴な雰囲気はそのままに、現代の生活に寄り添う陶器を作り続ける窯元・松庄さんと作った土鍋です。信楽の土は空気の層をたくさん含んでいるため蓄熱性が高く、遠赤外線効果のあるラジウム鉱石を含むため、素材の味を引き出して料理をおいしくしてくれます。持ち手をなくしたデザインも、ポイントのひとつ。これにより、収納しやすくしました。「コンロに鍋をいくつか置くときも、持ち手がないので邪魔になりません。温かみがありつつシンプルなデザインは、私がよく作るアジアの料理とも相性がいいようです」
台湾に思いを馳せながら作る、酸菜白肉鍋
旅が大好きなワタナベさん。台湾にも毎年のように訪れるそう。「台湾に行ったら必ずといっていいほど食べるのが、酸菜白肉鍋です。発酵白菜ならではの酸味とうまみで、お肉がいくらでも食べられるんです。間違いなく、やみつきになるおいしさ! 発酵食なので、腸内環境を整えたいときにもおすすめです」。
ここ数年、おうちで作る人も増えている、酸っぱい白菜鍋です。白菜を塩漬けにして発酵させ、漬け汁ごと煮汁として使い、肉をゆでて食べます。本場では、豚肉のほかに羊肉、牛肉も入れますが、今回は手軽な豚肉で! 現地風に、大量の薬味と複雑な味を醸し出す調味料を用意して楽しんでください。
材料(2人分)
白菜 1/2個(500g)
豚バラしゃぶしゃぶ用肉 150g
干しえび 15g
干ししいたけ(薄切り) 10g
干し貝柱 4個
しょうが(せん切り) 1かけ
にんにく(つぶす) 1かけ
紹興酒 80mL
薬味
|香菜 40g
|細ねぎ 3本
|にら 1/2束(20g)
|ピーナッツ 30g
|にんにく、しょうが 各1かけ
|ねりごま 大さじ4
|黒酢 大さじ2
|砂糖 大さじ1
|豆板醤 小さじ1〜2
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*小さじ1=5mL、大さじ1=15mL、1カップ=200mLです。
① 酸白菜を作る
白菜は横1cm幅に切り、バットなどに入れて塩5g(分量外)をふり、軽くもんでしんなりさせる。保存容器または保存袋に入れ、水1カップを注ぐ。20℃くらいの室温におき、ときどき混ぜながら、液が白濁するまで2~3日おく。
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Maki's Point
「発酵させるため、少し空気が入るようにして保存します。ときどき返しながら漬けます」
② 酸白菜のでき上がり
3~4日おいた状態。夏なら2日、春秋は3〜4日、冬は1週間くらいでこの状態に。しんなりしてカサが減り、水分が上がってきて、食べたときに酸味が出ていたら完成。
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Maki's Point
「食べたときに少しピリピリしていたら、発酵が進みすぎ。食べられなくはないですが、そうなる手前がおすすめです。発酵後(酸味が出てきたら)は、冷蔵庫で保存を」
③ 薬味の準備
香菜はざく切りに、細ねぎとにらは小口切り、ピーナッツは粗く刻む。にんにく、しょうがはすりおろす。それぞれ小さな器に入れる。調味料もそれぞれ器に入れる。
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Maki's Point
「薬味はこの鍋の味のポイントでもあるので、いろいろと用意しましょう」
④ 煮汁を作る
鍋に水1L、干しえび、干ししいたけ、干し貝柱を入れ、30分以上浸す。①の酸白菜を汁ごと加え、紹興酒、しょうが、にんにくを入れて中火にかける。
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Maki's Point
「干しえび、干ししいたけ、干し貝柱にはうまみがたっぷり。水にしばらく浸してうまみを引き出します」
⑤ 煮立ててアクをとる
煮汁をしばらく煮て、煮立ってきたらアクを除く。
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Maki's Point
「乾物のうまみに、酸白菜のうまみと酸味が合わさり、何ともいえないクセになるおいしさに」
⑥ 肉をゆでる
煮立ったらアクを除き、豚肉を加えてさっと煮る。器に好みの薬味や調味料を入れて混ぜ、つけて食べる。
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Maki's Point
「複雑な味わいになった汁で豚肉をゆで、酸白菜をくるんで一緒に食べます」
薬味は好きなものを好きな分量で混ぜてOK。全種類を混ぜ、肉や白菜をつけて食べるのが本場風。
ゆでた肉を汁ごと薬味に混ぜて、食べるのがツウ。
Homelandでは、「酸菜白肉鍋」で使用した直径約30㎝の土鍋のほかに、直径約20㎝の土鍋もご用意しています。こちらは、1~2人分の鍋や湯豆腐などにちょうどいいサイズ。「湯豆腐って、子どもの頃はまったく興味がなかったんです。でも、いつしかこのおいしさがわかる年齢になりました(笑)。シンプルな料理だからこそ、豆腐などの食材はもちろん、おいしく作れる土鍋で作りたいですね。最近は、梅ヤンニョムを漬けて食べるのがマイブーム」。
材料(2人分)
豆腐(8等分に切る) 1丁(300g)
昆布 10㎝
細ねぎ 適量
しょうが(すりおろす) 1かけ
梅ヤンニョム(あれば・下記) 適量
作り方
① 土鍋に昆布、水適量を入れ、30分ほどおく。
② 昆布がもどって広がってきたら中火にかけ、煮立ち始めたら豆腐を入れ、温める。
③ 器に豆腐を網じゃくしなどですくい、細ねぎ、しょうが、梅ヤンニョムなどで食べる。
Wa&_ (ワンダー)
wa&_(ワンダー)は、現代版“にっぽんの味”を料理家ワタナベマキが提案するブランドです。"日々の食卓に、小さなワンダーを"をテーマに、世界各地の料理から受けたインスピレーションを繊細な和のテイストにアレンジしてお届けします。今回湯豆腐に使用した梅ヤンニョムのほか、じゃことアーモンドの醬(ジャン)があります。
ワタナベマキさん
1976年神奈川県生まれ。夫と長男と猫2匹と暮らす。グラフィックデザイナーを経て、2005年に料理家として活動を始める。日々食べるものをおいしくていねいに作るのが信条。素材の味をシンプルに引き出す料理、素材の組み合わせに定評がある。ライフスタイルに憧れるファンも多い。現在は、テレビ、雑誌、オンライン料理教室など幅広く活躍中。著書は『マキさんの極上シンプルおにぎり』(ワン・パブリッシング)、『毎日のおかずはシンプルがいい』(エムディエヌコーポレーション)、『ほったらかしでおいしい! せいろでおかず蒸し:手軽に毎日ごちそう気分!』(Gakken)など多数。
https://maki-watanabe.com
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撮影/竹内章雄
構成・文/飯村いずみ
アートディレクション/小橋太郎(Yep)