季節感溢れるオシャレな料理、忙しい人にも寄り添うレシピが人気の料理家のワタナベマキさん。日々、気持ちよく食事を作るには、お気に入りのキッチンツールが欠かせないといいます。そんな道具好きのワタナベさんに、タイムレスコンフォートのオリジナルキッチンツール「Homeland」を使った世界の料理をリクエストするこの企画も、今回が最終回。最後を飾るのは、世界のコロッケです。お肉屋さん風のひき肉コロッケからポルトガル風、スペイン風、中近東風まで。どれも、ビールやワインのお供にぴったりです。
Homelandとは?
「使い勝手の良い、長く使いたいもの」をコンセプトに、タイムレスコンフォートが提案するキッチンツール&テーブルウェアブランドです。日本各地で長年磨き続けられた技術を受け継ぐ職人たちと直接対話を重ねながら、今の私たちのキッチンや食卓にフィットする道具や器を形にしています。さりげないけれど一度使うと手放せなくなる道具、料理を魅力的に見せてくれる器作りを目指しています。サスティナビリティ(持続可能)なキッチンの実現、またメイドインジャパンの技術の継承を願い、ホームランド(母国)と名づけました。

どの国の料理も
おいしく見せてくれる器
「和食器でありながら、メキシカンやポルトガルの料理にも合いますね」とはワタナベさん。「私の料理は、和食でもどこかエスニック風だったり、アジア風だったりするものが多くて。なので、こんな風にどの国の料理をのせてもしっくりくる器が好きです。同じシリーズで色や形を変えても違和感なく使えそう」。丸とオーバルのプレートの他、飯椀、鉢、マグカップがあるので、色違い、形違いで少しずつ揃えていくのも楽しいですね。

Homelandの
信楽皿シリーズ
信楽皿シリーズは、国内外の星つきレストランのシェフを顧客に持つ「菱三陶園」が作っています。色柄は三種類。一番人気の「斑点」は薄めのグレイッシュカラーで、どんな料理も受け止めてくれます。「緋色」は信楽焼ならでは! 一見、和食以外には難しそうに感じますが、テラコッタ風でもあり、メキシカンをはじめとしたエスニック料理にもピタリとハマります。「白」は波を打ったような、風が吹いたようなニュアンスが魅力的。丸皿、オーバル皿共にリムがあって盛りつけがしやすく、深さもあるので汁けのある料理にも使いやすいと評判です。
世界のコロッケ
コロッケはわが家でも大人気のおかずです。少し手間はかかりますが、その甲斐ありのおいしさです。コロッケは実はいろいろな国で食べられていて、種類も豊富。その中でも特に私が好きな4種類をご紹介します。どれも素朴な味わいが魅力です。


シンプル
じゃがいもコロッケ
具はひき肉だけ! の
お肉屋さん風シンプルコロッケ。
じゃがいもを蒸して作るから、
ホクホク感が違います。
材料(6個分)
じゃがいも(男爵) 4個(600g)
牛ひき肉 100g
サラダ油 小さじ2
ナツメグ 少々
塩 小さじ2/3
こしょう 少々
バター 30g
衣
|薄力粉 大さじ3
|溶き卵 1個分
|パン粉 1カップ
揚げ油 適量
───
*小さじ1=5mL、大さじ1=15mL、1カップ=200mLです。

① じゃがいもを蒸す
じゃがいもは皮をタワシできれいに洗い、蒸気の上がった蒸し器に入れ、強火で25~30分蒸す。竹串がスーッと通るくらいやわらかくなればOK。
───
Maki's Point
「じゃがいもはゆでるよりも蒸した方がホクホク感が増します」
② つぶす
熱いうちに皮をむき、マッシャーなどで粗めにつぶす。
───
Maki's Point
「冷めるとつぶしにくいので、熱いうちにつぶします。皮をむくときはフキンやペーパータオルでじゃがいもを包み、手早くむくといいでしょう」

③ 具を炒め、混ぜる
フライパンにサラダ油を熱し、牛ひき肉を入れて中火で炒める。肉の色が変わったらナツメグ、塩のうち小さじ1/4を加え、しっかりと炒める。②に加え、残りの塩、こしょう、バターを加え、混ぜる。
───
Maki's Point
「冷めると混ざりにくく味もしみこみにくいので、炒めた肉とじゃがいもが熱いうちに手早く混ぜます」

④ 丸める
粗熱がとれたら6等分にし、しっかり押さえて小判形に丸める。
───
Maki's Point
「しっかり押さえるのは、ヒビが入っているとパンクの原因になるため。表面をなめらかにします」

⑤ 衣をつける
薄力粉をたっぷりまぶし、余分な粉は落とす。溶き卵にくぐらせ、パン粉もたっぷりとまぶし、軽く押さえてパン粉を落ち着かせる。
───
Maki's Point
「粉のつき方にムラがあると、卵やパン粉がはがれてパンクしやすいので、しっかりつけます」

⑥ 揚げる
揚げ油を180℃に熱し、⑤を入れ、きつね色になるまで揚げる。器に盛り、好みで練りがらしを添える。
───
Maki's Point
「揚げ油に入れたら表面がかたまるまでは触らないように。触ると、せっかくつけたパン粉が落ちてしまいます」
ファラフェル
ひよこ豆をつぶして作る、中近東のコロッケ。
クミンの香りとパセリの風味がおつまみに最適!
材料(10個分)
ひよこ豆(乾燥) 100g
玉ねぎ(ざく切り) 1/2個(100g)
にんにく(半分に切る) 1かけ
パセリ(ざく切り) 10g
A
|小麦粉 大さじ1と1/2
|塩 小さじ1/ 3
|クミンパウダー 小さじ1/3
揚げ油 適量
B
|プレーンヨーグルト 大さじ1
|クミンパウダー 小さじ1/3
① ボウルにひよこ豆を入れ、かぶるくらいの水を加えて一晩(8時間ほど)浸してもどす。
② ①の水けをきって鍋に入れ、水3と1/2カップ、塩小さじ1/3(各分量外)を加えて中火にかける。煮立ったらアクを除き、5分ほどゆでてざるに上げる。ゆで汁1/2カップほどとっておく。
③ フードプロセッサーに②のひよこ豆を入れ、玉ねぎ、にんにく、パセリ、Aを入れて回し、粗みじん切りにする。
④ ③をボウルに移し、さらによく混ぜる。手で握ってまとまればよい。まとまりにくいときは、ひよこ豆のゆで汁を大さじ1~2ずつ、さらに小麦粉も少しずつ(分量外)加えて混ぜ、手につかなくなるまで調節する。10等分にしてボール状に丸める。
⑤ 揚げ油を180℃に熱し、④を入れ、表面がかたまってきたら、返しながらこんがりと色づくまで3~4分揚げる。器に盛り、Bを混ぜて添える。
Point

フードプロセッサーにゆでたひよこ豆、玉ねぎ、にんにく、パセリ、小麦粉、塩、クミンパウダーを入れる。

少しかたい場合は、ひよこ豆のゆで汁を加えてかたさを調節する。

10等分にし、ボール状に丸める。
生ハムのクリームコロッケ
スペインのクリームコロッケです。
生ハムのうまみと塩味がいい感じ。
材料(6個分)
ホワイトソース
|バター 50g
|薄力粉 50g
|牛乳 350mL
|塩 小さじ1/3
|こしょう 少々
生ハム(粗みじんに切る) 50g
にんにく(すりおろす) 少々
衣
|薄力粉 大さじ3
|溶き卵 1個分
|パン粉 1カップ
揚げ油 適量
① ホワイトソースを作る。フライパンにバターを入れて弱火にかけ、溶けたら薄力粉をふるい入れ、クツクツとしっかり煮立たせながらヘラで混ぜ、全体がしっかりと馴染んだら火を止める。
② 小鍋に牛乳を入れて人肌に程度に温める。①に少しずつ加えながら混ぜ、とろみがついたら塩、こしょうを加えて混ぜ、生ハム、にんにくを加えてさらに混ぜる。
③ バットに②を広げ、ラップをかけ、粗熱がとれたら冷蔵庫で1時間冷やす。
④ ③を6等分にして俵形に丸め、冷凍庫で30分ほど冷やす。
⑤ ④に薄力粉、溶き卵、パン粉の順に衣をつけ、180℃の揚げ油に入れ、きつね色になったら揚げ油の温度を160度くらいに落として3分ほど揚げる。器に盛り、好みでレモンの皮を削りかけ、ディルをのせる。
たらとじゃがいものコロッケ
ポルトガルの干しだらのコロッケを生のたらでアレンジ。
じゃがいもとベストな相性です。
材料(8〜10個分)
じゃがいも 3個
生たら 2切れ(160g)
塩 小さじ2/3
にんにく(すりおろす) 少々
バター 20g
衣
|薄力粉 大さじ3
|溶き卵 1個分
|パン粉 2/3カップ
揚げ油 適量
パルミジャーノ・レッジャーノ 適量
① 熱湯にたらを入れて30秒ほどゆで、冷水にとって洗い、皮と骨を除く。水けをふき、塩をまぶし、細かく切る。
② じゃがいもは皮をタワシできれいに洗い、蒸気の上がった蒸し器に入れ、強火で25~30分蒸す。熱いうちに皮をむき、マッシャーなどで粗めにつぶす。
③ ②が熱いうちに①、にんにく、バターを加えて混ぜる。
④ 粗熱がとれたら8~10等分にし、ラグビーボール状に丸め、薄力粉、溶き卵、パン粉の順に衣をつけ、180℃の揚げ油できつね色になるまで揚げる。器に盛り、パルミジャーノ・レッジャーノをおろしかける。
ワタナベマキさん
1976年神奈川県生まれ。夫と息子、猫2匹と暮らす。グラフィックデザイナーを経て、2005年に料理家として活動を始める。日々食べるものをおいしくていねいに作るのが信条。素材の味をシンプルに引き出す料理、素材の組み合わせに定評がある。ライフスタイルに憧れるファンも多い。現在は、テレビ、雑誌、オンライン料理教室など幅広く活躍中。著書は『マキさんの極上シンプルおにぎり』(ワンパブリッシング)、『ほったらかしでおいしい! せいろでおかず蒸し』(Gakken)、『あたらしいみそおかず』(文化出版局)、『ワタナベマキの体に優しいいたわりスープ』(扶桑社)、『五感が喜ぶおいしい組み合わせ。おつまみ100』(宝島社)など多数。
https://maki-watanabe.com
Wa&_ (ワンダー)
wa&_(ワンダー)は、現代版“にっぽんの味”を料理家ワタナベマキが提案するブランドです。"日々の食卓に、小さなワンダーを"をテーマに、世界各地の料理から受けたインスピレーションを繊細な和のテイストにアレンジしてお届けします。
撮影/竹内章雄
構成・文/飯村いずみ
アートディレクション/小橋太郎(Yep)