サスティナブルなものづくり

DESIGN for SUSTAINABILITY・2023.04.28

「ものづくり」は地球にやさしいサスティナブルな視点が欠かせません。暮らしに欠かせない家具も、作り手と使う側が共に、環境保全や持続可能な社会作りなどの視点でサスティナブルを意識することが大切です。そこで私たちが家具を選ぶときのヒントと、暮らしの中にどう取り入れていけばいいかを考えてみましょう。

今回は「dareels(ダリールズ)」のデザイナー・デビット・ジョフラ氏にインタビュー

Q:創業当時からサスティナブルな家具づくりを意識していましたか?

David:
創業当時はそんなに強く意識はしていませんでしたが、契約するお客様がサスティナビリティを求めていたのをきっかけに強く考えるようになり、去年からはリサイクル素材を強化するために専門のチームも立ち上げましたよ。残念なのは、サスティナブルを意識した家具は高い、という風潮があること。それを払拭するために、価格を抑えたり、新しい挑戦にチャレンジしていますよ。もちろん、プライベートでもサスティナビリティを意識して暮らすようになりましたね。

Q:古材を使ったデザインはどのように始まったのですか?

David:
10年前、チーク材の家具をデザインしようと思ってインドネシアを訪れたときのこと。木材の伐採が盛んに行われていて、自然保全のことを考えるとちょっと心配でした。そこで、住宅などで使われていた古材を家具にリサイクルできるんじゃないかな、と閃いたのがきっかけ。リサイクルチークは世界中の企業が注目している素材でした。ただ、小さなリサイクルチークはこの先も枯渇することはないけど、大きなリサイクルチーク(例えば、160㎝のダイニングテーブルに使う1枚板の天板)は見つけるのが難しくなってきていますね。

Q:他に注目しているリサイクル素材は?

David:
ソファのファブリックですね。現在扱っているファブリックソファの布もリサイクル素材を使っているし、スペイン国内で自社の商品を回収して、また新しい商品に生まれ変わるという活動もしていますよ。

Q:TIMELESS COMFORTで人気のTOOR(トアー)シリーズについて教えてください!

David:
TOORはそのままでは使い道がない、倉庫に眠っていたチークの根の部分を使った家具のシリーズ。家具を作るとき、根っこの部分は使わなかったけれど、その部分を再利用できないかと考えて、個性的な家具を作りました。根っこの部分は数百年という長い時間をかけて育ってきた部分だから、密度も高く耐久性にもすぐれているから使わない手はないでしょう。

Q: dareelsの黒色はどのように作られているのですか?

David:
黒色は木を焼いてウォーターベースの塗料を塗る……という作業を何回も繰り返して生まれる色なんです。この方法だと塗装するよりもナチュラルな黒を表現でき、環境にもやさしいでしょ。

Q: dareelsの木の色がきれいなわけは?

David:
木の色は均一になるように加工していますよ。天然木を使用している他のブランドにはない特徴と言えるでしょう。天然木は一枚の板でも部分的に色むらがあるから、濃い部分には特殊なブリーチを施して色を均一にし、美しく仕上げています。

David Jofra(デビッド・ジョフラ)

dareels創業者、デザイナー。
スペイン・バルセロナにあるIEDヨーロッパデザイン研究所で製品開発研究をした経験をもとに、dareelsの製品をデザイン。研究所で培ったインテリアデザインの知識と自然素材が持つ本来の美しさを掛け合わせることで、ユニークなデザインを生み出している。

アートディレクション・文/小橋太郎(Yep)