キッチン用品によく使われる材料のひとつに「オリーブウッド（オリーブの木）」があります。オリーブの木は、木の密度が高く、よく乾燥させるとさらに強度が高まり硬質になるため、さまざまな道具に加工し、長く使うことができます。水はけがよく、抗菌性が高い性質により、特にキッチンまわりで使うのに適しています。

オリーブウッドを愛し、その製品を世界に発信し続ける加工会社に、イタリアの「アルテレニョ（Arte Legno）」社があります。アルテレニョは1977年の設立から45年間、二世代に渡ってユニークでバラエティ豊かな製品を生み出してきました。

アルテレニョの工房は、イタリア・ウンブリア州にあるイタリア唯一の内陸村スペッロにあります。人口おおよそ8600人ほどの小さな村・スペッロには、昔ながらの美しい自然の風景が残っていますが、この豊かな景観は、村独自の「制度」によって守られ続けています。その制度の適用の範囲は、アルテレニョが尽力しているオリーブウッド製品づくりにも及びます。

オリーブウッド製品に使用されるオリーブの樹木は、元々はイタリアの特産品でもあるオリーブを生産するために植えられたもの。その中で道具に加工できる木材は、最低でも80年以上の樹齢のものと決まっています。さらに、何らかの事情で枯れてしまったり、災害によって倒れてしまったりした樹木だけが、伐採し加工することを許されているのです。

細かく厳格な制度ですが、そのお陰でスペッロの美しい自然は守られ続けているのです。

現在は、オリーブウッド単体を使うだけでなく、ステンレスやガラスなど異素材を組み合わせることで、今までは困難だった製品作りにも挑戦しているアルテレニョ。キッチンツールやテーブルウェアはもちろんのこと、なんとジュエリーやインテリアグッズまで手掛けています。それでもやはり、アルテレニョを代表する製品と言えば「カッティングボード」なのではないでしょうか。

アルテレニョのカッティングボードには、さまざまな形・大きさがあり、使い方や好みに合わせて選ぶことができます。同じ商品でも、それぞれの形・大きさ・木目の表情などが微妙に違うところがとてもユニーク。波打った輪郭がワイルドなものもあれば、静体的な木目が慎ましい雰囲気をまとったものもあるなど、ひとつとして同じものはありません。

「TIMELESS COMFORT」店舗では、直接見比べてご購入頂けますが、ＥＣサイトではランダムに商品を選定して出荷しています。どんな「オンリーワン」に出会えるのかワクワクしながら待つのも良いものです。

「今後オリーブ製品はどんどん少なくなるだろう」

アルテレニョのスタッフはそう語ります。良い製品を作るには、加工に適した樹齢年数が高いものを使う必要がありますが、そのような樹木は現在非常に限られています。今から新たに植樹を開始したとしても、月日の経つスピードが変わることはありません。それなら、使う側の私たちが変わるしかないのです。

ひとつの製品を愛し、長く使用すること。

私たちが短いサイクルでものを使い捨てるのをやめ、ひとつのものを愛し、長く使うようになれば、遠く離れたイタリアの小さな村の自然も守られ、そんなイタリアの自然を愛するアルテレニョの伝統や技術をも守ることができます。硬く丈夫で、変化する色やキズすらも味わいとなる…そんなアルテレニョのカッティングボードは、我が家の食卓の歴史をともに歩んでくれる、最高のパートナー︎になってくれることでしょう。