あっという間に9月になりました!この時期はお引越しや異動などで生活のリズムに変化のある方も多いのではないでしょうか。大きな変化はなくても、お部屋のインテリアを見直してみたり、テーブル周りのアイテムを少し変えてみたりと、ファッションと同じように、なんとなく新しいものを取り入れたくなりますね。せっかくならシンプルで洗練されたデザインものを選びましょう。
今回ご紹介するのは、「柳宗理」デザインのテーブルウェアシリーズです。
やなぎ そうり
インダストリアルデザイナー。民藝運動をおこした柳宗悦の長男。1940 年に東京美術学校西洋画科を卒業。戦後、工業デザインの研究に着手し、第11 回ミラノ・トリエンナーレでは「バタフライスツール」を含む展示で金賞受賞。「バタフライスツール」はMoMA( ニュ ーヨーク近代美術館) の永久所蔵にも認定されています。1977 年からは柳宗悦が創設した日本民藝館の館長に就任。2002 年には文化功労者として顕彰され、晩年まで家具類をはじめとして、キッチンウェア、テーブルウェアなど数多くのデザインを手がけました。
今回新たに登場したのは、柳宗理によって1982 年にデザインされた「白黒の食器シリーズ」の復刻版。時を経て2023 年、瀬戸焼のメーカー「セラミック・ジャパン」により復刻され、新たに注目を集めています。角の取れたスクエア型のこの器は、毎日の暮らしで使うことを考えて作られた、飽きがこないシンプルなデザインが特徴です。発表当時、量産品で主流となっていた回転体(電動ろくろ)でできた丸い形の食器とは一線を画すべく、鋳込み成型(型に材料を流し込んで成型する方法)を採用し、回転体では実現できない、スクエア型のデザインを生み出しました。
柔らかな形状に合わせた白と黒のマットカラーは食材の色を引き立て、様々なメニューにお使いいただけます。このマットな釉薬はナイフやフォークを使った時に傷がつきにくい特性も持ち合わせています。
電子レンジ、食洗機での使用も可能でお手入れも楽々。毎日気軽にお使いいただけるテーブルウェアです。
この「白黒シリーズ」の象徴するアイテムとしてまずご紹介したいのがこちらのティーアイテムです。持ちやすさにこだわったやさしいデザインは、美しい佇まいでお部屋のインテリアとしても取り入れたくなります。
ティーカップ&ソーサー
容量174mLと小ぶりなサイズのカップに、ソーサーがセットになっています。ソーサーはかつて中央に凹みがありましたが、復刻版では凹みを付けず、プレートとしても使えるフレキシブルなデザインに変更されています。カップやハンドル部分も角の取れた柔らかなスクエア形に統一され、細部にまで柳宗理のこだわりが生きています。
ティーポット
950mLと大容量のティーポット。広めの持ちやすいハンドルによって、重さを感じにくい作りになっています。寸胴型で間口が広いので洗いやすくお手入れも楽々。蓋にはフックが付いているので、片手で注いでも蓋が落ちにくい構造になっています。ストレーナーはついていませんので、茶葉をそのままポットに入れるときは、茶こしを合わせてご使用ください。
かさばらず収納しやすいスクエア形のプレート。程よい厚みと重さがあり、本体よりも少しだけせりあがったリム部分に指が引っかかるので持ち上げやすく、運びやすいのが特徴です。
プレート同様に丸みのある角とリムの効果で持ちやすく、収納しやすいボウルです。角にスプーンなどを添わせて中身を掬い取れるので、片手でも食事しやすいのが特徴です。
1966年に柳宗理がデザインしたグラスを、約50年の時を経て復刻させた、レトロなデザインのグラスです。白黒シリーズ同様に、どんな人でも使いやすい「ユニバーサルデザイン」で、機能性とデザイン性が融合した優秀なアイテムです。
Yグラス
縦に配置されたドットがポイントのグラス。手にすっぽりと収まる程よい大きさで、ドット部分がフックになり、水滴がついても滑りにくく、持ちやすいように設計されています。サイズは2サイズ。Sサイズは150mL、Lサイズは200mLと飲み切りサイズで日常使いにぴったりです。食洗機には対応していませんので、お手入れはスポンジでやさしく洗ってあげてください。
続いては昨年から取り扱いがスタートした柳宗理の和食器シリーズ。柳が初めて「和食用の食器」として手がけた器を、誕生当時の柳の想いに即しながら、柳工業デザイン研究会の監修を受け美濃焼の窯元「深山」が、2022年に復刻させました。白磁の美しさをそのまま生かしたシンプルな「古白磁」と、柳が当時の食環境を鑑み、「このうつわには文様があっていい」と描いた紋様付の「染付紋・渦」。幾重にも円を描くこの紋様は「鳴門の渦潮」をイメージしているそうです。
食洗機や電子レンジも対応でも、日常使いしやすいアイテムです。
誰でも持ちやすい程よい大きさの急須は、間口が広くお手入れのしやすさも抜群。ぜひお揃いの湯呑みと合わせて使っていただきたい逸品です。急須の容量は220mL、湯呑は100mLと急須はちょうど2人分。3.5寸(11cm)の豆皿と合わせて、のんびりとお茶の時間はいかがでしょうか。
5寸皿(15cm)は取り皿として丁度良いサイズ。来客時のおもてなしにも使える、上品なデザインで、まとめて購入される方も多い人気のアイテムです。
昔ながらの丸いラインを描いた飯椀。手にすっぽりと収まる約11cmの大きさです。
立ち姿が美しいこの醤油さしは、柳宗理によるデザインを基に、現代の暮らしに調和する容量として、柳工業デザイン研究会によりリサイズされた製品です。大サイズは100mL、小サイズは50mL。入れるものや家族の人数に合わせて、ちょうど良いサイズを選んでみてください。
美味しいものもたくさん増えてくるこれからの季節。デザインの優れた新しいテーブルウェアを取り入れて、新しい季節を楽しく過ごしましょう。
撮影/よねくらりょう
アートディレクション/小橋太郎(Yep)